老後資金、月いくら必要?65歳からの30年シミュレーション
「老後2,000万円問題」はもう古い。
世帯構成・住居形態・健康状態で大きく変わる「リアルな必要額」を、3つのケースで具体的に試算します。
目次
1. 老後2,000万円問題の正体
2019年に金融庁ワーキンググループが発表した報告書で話題になった「老後2,000万円問題」。実はこれは「夫65歳・妻60歳の無職世帯」に特化したモデルケースで、全員に当てはまるわけではありません。
当初試算の根拠
- 無職高齢夫婦の月収(公的年金中心):約20.9万円
- 月支出:約26.4万円
- 月赤字:約5.5万円
- 30年(65歳→95歳)の累計赤字:約1,980万円
注意
この試算は持ち家・健康前提。賃貸住まい・介護費発生・夫婦のどちらかが先立った場合などで大きく上下する。
この試算は持ち家・健康前提。賃貸住まい・介護費発生・夫婦のどちらかが先立った場合などで大きく上下する。
2. 総務省統計:65歳以上世帯の平均支出
65歳以上夫婦無職世帯(2024年家計調査)
| 項目 | 月額 |
|---|---|
| 食料 | 72,930円 |
| 住居 | 16,827円 |
| 光熱・水道 | 22,422円 |
| 家具・家事用品 | 10,477円 |
| 被服・履物 | 5,159円 |
| 保健医療 | 16,879円 |
| 交通・通信 | 30,729円 |
| 教養娯楽 | 24,690円 |
| その他消費 | 50,839円 |
| 非消費(税金・社会保険) | 31,538円 |
| 合計 | 282,490円 |
単身無職世帯
- 合計月支出:約157,673円
- 食料:約4.1万円、住居:約1.3万円、その他:約10.4万円
3. 公的年金の平均受給額
| 区分 | 月額 |
|---|---|
| 厚生年金(会社員平均、夫婦合計) | 約22万円 |
| 厚生年金(単身、男性平均) | 約16.5万円 |
| 厚生年金(単身、女性平均) | 約10.5万円 |
| 国民年金のみ(夫婦合計、満額) | 約13.6万円 |
| 国民年金のみ(単身、満額) | 約6.8万円 |
4. ケース別シミュレーション(30年累計)
ケースA:夫会社員+妻専業主婦(持ち家ローン完済)
- 月収入:厚生年金22万円
- 月支出:28万円
- 月赤字:6万円
- 30年累計不足額:2,160万円
ケースB:単身女性(厚生年金・持ち家)
- 月収入:厚生年金10.5万円
- 月支出:16万円
- 月赤字:5.5万円
- 30年累計不足額:1,980万円
ケースC:夫婦自営業(国民年金のみ・賃貸)
- 月収入:国民年金合計13.6万円
- 月支出:28万円+賃料8万円=36万円
- 月赤字:22.4万円
- 30年累計不足額:8,064万円
賃貸高齢者の現実
賃貸住まいの場合は月8〜10万円の家賃が30年で2,880〜3,600万円の上乗せ。自営業+賃貸の組み合わせは老後資金の大問題。
賃貸住まいの場合は月8〜10万円の家賃が30年で2,880〜3,600万円の上乗せ。自営業+賃貸の組み合わせは老後資金の大問題。
5. 医療・介護費の上乗せ
医療費
- 後期高齢者(75歳以上)の自己負担:1〜3割(所得による)
- 高額療養費制度の自己負担上限:月57,600円(一般所得)
- 生涯医療費の自己負担総額:約300〜500万円
介護費
- 要介護2〜3の在宅介護:月10〜15万円(介護保険+自己負担)
- 有料老人ホーム(民間):入居一時金300〜2,000万円+月20〜30万円
- 特養(公的):月8〜13万円(入居まで待機長い)
- 介護期間の平均:約5年
老後資金にプラスすべき額
| 項目 | 夫婦合計 | 単身 |
|---|---|---|
| 医療費上乗せ | 700〜1,000万円 | 400〜500万円 |
| 介護費上乗せ | 1,000〜2,000万円 | 500〜1,500万円 |
| 合計目安 | 1,700〜3,000万円 | 900〜2,000万円 |
6. 不足額をどう埋めるか
FPねこの埋め方戦略
1. 新NISAでコア資産を作る(生涯1,800万円枠)
2. iDeCoで節税+追加資産(年14.4〜81.6万円)
3. 退職金を運用しつつ取り崩し
4. 年金繰下げで受給額を増額(70歳まで繰下げで+42%)
5. 就業継続(65〜70歳まで働けば年金+給与の二刀流)
1. 新NISAでコア資産を作る(生涯1,800万円枠)
2. iDeCoで節税+追加資産(年14.4〜81.6万円)
3. 退職金を運用しつつ取り崩し
4. 年金繰下げで受給額を増額(70歳まで繰下げで+42%)
5. 就業継続(65〜70歳まで働けば年金+給与の二刀流)
各戦略の効果
| 戦略 | 30年累計効果 |
|---|---|
| 新NISA満額(月5万円×30年・5%) | +約4,100万円 |
| iDeCo月2.3万円×30年・5% | +約1,900万円 |
| 年金繰下げ70歳(+42%) | +約1,500万円(25年受給) |
| 65〜70歳の就業継続(手取り月15万円) | +900万円 |
7. 取り崩し戦略:4%ルール
「4%ルール」とは、退職時の資産の4%相当を毎年取り崩しても、30年資産が枯渇しないという米国研究(トリニティスタディ)に基づくルール。
計算例
- 退職時資産:3,000万円
- 年取り崩し額:120万円(月10万円)
- インフレ調整しつつ30年継続 → ほぼ95%の確率で資産枯渇せず
日本での適用注意
米国のデータベース。日本の人口動態・経済成長率を考慮すると3.5%程度が保守的目安。3,000万円なら年105万円(月8.75万円)。
米国のデータベース。日本の人口動態・経済成長率を考慮すると3.5%程度が保守的目安。3,000万円なら年105万円(月8.75万円)。
老後資金は「いくら必要」よりも、「どう取り崩すか」の方が重要。新NISA・iDeCoで作った資産を、4%ルールで計画的に取り崩していけば、30年は十分持ちます。
免責事項
本記事は2026年5月時点の統計と制度に基づく一般的な情報提供で、個別の老後資金計算ではありません。詳細はFP・年金事務所・自治体窓口にご相談ください。

質問老後って、結局いくら必要なんですか?

FPねこ「いくら」より「毎月の収支」で考えるのがコツだにゃ🐾 必要額=(毎月の支出 − 年金などの収入)×老後の年数。たとえば月5万円の不足が30年続けば1,800万円。だから大事なのは①年金見込みを把握②支出を整える③不足分を新NISAで準備、の順。漠然と恐れるより、自分の数字で出すと一気に現実的になるにゃ。


