老後資金、月いくら必要?65歳からの30年シミュレーション|2026年版

iDeCo・年金
年金 公開 2026.05.28 更新 2026.05.28 ⏱ 読了目安 約10分

1. 老後2,000万円問題の正体

2019年に金融庁ワーキンググループが発表した報告書で話題になった「老後2,000万円問題」。実はこれは「夫65歳・妻60歳の無職世帯」に特化したモデルケースで、全員に当てはまるわけではありません。

当初試算の根拠

  • 無職高齢夫婦の月収(公的年金中心):約20.9万円
  • 月支出:約26.4万円
  • 月赤字:約5.5万円
  • 30年(65歳→95歳)の累計赤字:約1,980万円
注意
この試算は持ち家・健康前提。賃貸住まい・介護費発生・夫婦のどちらかが先立った場合などで大きく上下する。

2. 総務省統計:65歳以上世帯の平均支出

65歳以上夫婦無職世帯(2024年家計調査)

項目月額
食料72,930円
住居16,827円
光熱・水道22,422円
家具・家事用品10,477円
被服・履物5,159円
保健医療16,879円
交通・通信30,729円
教養娯楽24,690円
その他消費50,839円
非消費(税金・社会保険31,538円
合計282,490円

単身無職世帯

  • 合計月支出:約157,673円
  • 食料:約4.1万円、住居:約1.3万円、その他:約10.4万円

3. 公的年金の平均受給額

区分月額
厚生年金(会社員平均、夫婦合計)約22万円
厚生年金(単身、男性平均)約16.5万円
厚生年金(単身、女性平均)約10.5万円
国民年金のみ(夫婦合計、満額)約13.6万円
国民年金のみ(単身、満額)約6.8万円

4. ケース別シミュレーション(30年累計)

ケースA:夫会社員+妻専業主婦(持ち家ローン完済)

  • 月収入:厚生年金22万円
  • 月支出:28万円
  • 月赤字:6万円
  • 30年累計不足額:2,160万円

ケースB:単身女性(厚生年金・持ち家)

  • 月収入:厚生年金10.5万円
  • 月支出:16万円
  • 月赤字:5.5万円
  • 30年累計不足額:1,980万円

ケースC:夫婦自営業(国民年金のみ・賃貸)

  • 月収入:国民年金合計13.6万円
  • 月支出:28万円+賃料8万円=36万円
  • 月赤字:22.4万円
  • 30年累計不足額:8,064万円
賃貸高齢者の現実
賃貸住まいの場合は月8〜10万円の家賃が30年で2,880〜3,600万円の上乗せ。自営業+賃貸の組み合わせは老後資金の大問題。

5. 医療・介護費の上乗せ

医療費

  • 後期高齢者(75歳以上)の自己負担:1〜3割(所得による)
  • 高額療養費制度の自己負担上限:月57,600円(一般所得)
  • 生涯医療費の自己負担総額:約300〜500万円

介護費

  • 要介護2〜3の在宅介護:月10〜15万円(介護保険+自己負担)
  • 有料老人ホーム(民間):入居一時金300〜2,000万円+月20〜30万円
  • 特養(公的):月8〜13万円(入居まで待機長い)
  • 介護期間の平均:約5年

老後資金にプラスすべき額

項目夫婦合計単身
医療費上乗せ700〜1,000万円400〜500万円
介護費上乗せ1,000〜2,000万円500〜1,500万円
合計目安1,700〜3,000万円900〜2,000万円

6. 不足額をどう埋めるか

FPねこの埋め方戦略
1. 新NISAでコア資産を作る(生涯1,800万円枠)
2. iDeCoで節税+追加資産(年14.4〜81.6万円)
3. 退職金を運用しつつ取り崩し
4. 年金繰下げで受給額を増額(70歳まで繰下げで+42%)
5. 就業継続(65〜70歳まで働けば年金+給与の二刀流)

各戦略の効果

戦略30年累計効果
NISA満額(月5万円×30年・5%)+約4,100万円
iDeCo月2.3万円×30年・5%+約1,900万円
年金繰下げ70歳(+42%)+約1,500万円(25年受給)
65〜70歳の就業継続(手取り月15万円)+900万円

7. 取り崩し戦略:4%ルール

「4%ルール」とは、退職時の資産の4%相当を毎年取り崩しても、30年資産が枯渇しないという米国研究(トリニティスタディ)に基づくルール。

計算例

  • 退職時資産:3,000万円
  • 年取り崩し額:120万円(月10万円)
  • インフレ調整しつつ30年継続 → ほぼ95%の確率で資産枯渇せず
日本での適用注意
米国のデータベース。日本の人口動態・経済成長率を考慮すると3.5%程度が保守的目安。3,000万円なら年105万円(月8.75万円)。

老後資金は「いくら必要」よりも、「どう取り崩すか」の方が重要。新NISA・iDeCoで作った資産を、4%ルールで計画的に取り崩していけば、30年は十分持ちます。

免責事項

本記事は2026年5月時点の統計と制度に基づく一般的な情報提供で、個別の老後資金計算ではありません。詳細はFP・年金事務所・自治体窓口にご相談ください。

質問者
質問老後って、結局いくら必要なんですか?
FPねこ
FPねこ「いくら」より「毎月の収支」で考えるのがコツだにゃ🐾 必要額=(毎月の支出 − 年金などの収入)×老後の年数。たとえば月5万円の不足が30年続けば1,800万円。だから大事なのは①年金見込みを把握②支出を整える③不足分を新NISAで準備、の順。漠然と恐れるより、自分の数字で出すと一気に現実的になるにゃ。
質問者
質問今からでも間に合いますか?
FPねこ
FPねこ間に合うにゃ🐾 大事なのは「残り年数 × 毎月の積立 × 複利」。たとえ50代でも、新NISAで月数万円を10〜15年積めばまとまった額になる。ポイントは生活防衛資金を残しつつインデックス投資で長く回すこと。遅すぎると諦めて何もしないのが一番もったいないにゃ。
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