こんにちは、FPねこです🐾 iDeCo(individual-type Defined Contribution plan=個人型確定拠出年金)は、「積み立てるとき」よりも実は「受け取るとき」で大きく差がつく制度です。同じ金額を貯めても、受け取り方を間違えると税金で100万円以上も損をすることがあります。今日は、その出口戦略をやさしく、しかし正確に解説します。
とくに2026年1月からは、iDeCoと退職金の受け取りに関わる重要なルール改正がありました。古い情報のまま受け取ると損をするので、最新の内容をしっかり押さえておきましょう。
なぜ「出口戦略」がそんなに大事なの?
iDeCoは積み立てているあいだ、掛金が全額所得控除になり、運用益も非課税という強力な節税メリットがあります。ところが、受け取るときには税金がかかるのです。「えっ、非課税じゃないの?」と驚く人も多いのですが、ここが落とし穴。
ただし、受け取り方を工夫すれば、この税金をゼロ〜ごくわずかに抑えることができます。逆に、何も考えずに受け取ると、せっかくの運用益が税金で大きく削られてしまいます。だからこそ「出口戦略」が重要なのです。
iDeCoの3つの受け取り方
まず大前提として、iDeCoの受け取り方は3種類あります。
- ① 一時金(一括):全額をまとめて受け取る。「退職所得」として扱われ、退職所得控除が使える
- ② 年金(分割):5〜20年に分けて受け取る。「雑所得」として扱われ、公的年金等控除が使える
- ③ 併用:一部を一時金、残りを年金で受け取る。両方の控除を使える「いいとこ取り」
どれが得かは、あなたの退職金の額・公的年金の額・勤続年数によって変わります。順番に見ていきましょう。
退職所得控除の仕組み(数字で理解)
一時金で受け取るときに使えるのが「退職所得控除」。これは「ここまでの金額なら税金をかけませんよ」という非課税のワクです。勤続年数(iDeCoの場合は加入年数)が長いほど大きくなります。
- 加入20年以下:40万円 × 加入年数
- 加入20年超:800万円 + 70万円 ×(加入年数 – 20年)
たとえば加入30年なら、控除額は「800万+70万×10年=1,500万円」。つまりiDeCoの一時金が1,500万円までなら、税金はゼロです。さらに、控除を超えた部分も「2分の1」だけが課税対象になるので、税負担はかなり軽くなります。


戦略①:一時金で退職所得控除をフル活用
もっともシンプルで強力なのが、一時金受け取り。加入年数ぶんの退職所得控除のワク内に収まれば、税金はゼロです。会社に退職金がない人、退職金が少ない人は、この戦略がそのままハマります。
戦略②:【2026年改正】退職金との受け取り順「10年ルール」に注意
ここが今回いちばん大事なポイントです。会社の退職金とiDeCoの一時金、両方とも「退職所得控除」を使います。ところが、近い時期に両方を受け取ると、控除のワクが重なってしまい、1回分しか使えなくなるのです。
この「重なり」を避けるための間隔ルールが、2026年1月1日から変わりました。
- iDeCoを先に受け取る → 退職金を後で受け取る場合:「10年ルール」(2025年までは5年ルールでした)。iDeCoを受け取った後、10年以上空けてから退職金を受け取らないと、控除が重複調整されます
- 退職金を先に受け取る → iDeCoを後で受け取る場合:「19年ルール」。退職金を受け取った後、19年以上空けないとiDeCo側の控除が調整されます
正直、10年や19年も空けるのは現実的に難しいことが多いです。そのため、「両方をフルに非課税で受け取る」のは年々ハードルが上がっています。だからこそ、次の年金受け取りや併用という選択肢が重要になります。
戦略③:年金受け取りで公的年金等控除を活用
iDeCoを年金形式(分割)で受け取ると、「雑所得」として公的年金等控除が使えます。65歳以上なら、公的年金との合計が年110万円までは控除でカバーされます。
公的年金が少ない人(自営業だった人など)は、この控除ワクに余裕があるので、iDeCoを年金で受け取ると税金を抑えられます。逆に、厚生年金が多い会社員は、このワクをすでに使い切っていることが多いので注意が必要です。


戦略④:一時金+年金の「併用」が現実解
10年・19年ルールで一時金の重複が避けにくくなった今、多くの人にとって現実的な最適解が「併用」です。
- 退職所得控除のワクに収まる分だけ一時金で受け取る
- はみ出す分を年金で受け取り、公的年金等控除を使う
こうすれば、2つの控除を両方とも活用でき、税負担を最小限に抑えられます。多くの会社員にとって、これが落としどころになります。
戦略⑤:受給開始は60〜75歳で選べる
iDeCoの受給開始時期は60歳から75歳まで、自分で選べます。60代前半はまだ働いていて収入がある人は、収入が下がる時期まで受け取りを遅らせると、税負担を抑えられることがあります。運用も続くので、その間に資産が増える可能性もあります。
【2027年改正】iDeCoはさらに使いやすくなる
受け取りの話とあわせて、これから始める人・続ける人に朗報の改正も控えています。2027年1月から、iDeCoが大きく拡充されます。
- 加入できる年齢が「70歳未満」まで拡大(現行は65歳未満)。長く積み立てられるように
- 掛金の上限がアップ:企業年金のない会社員は月23,000円→62,000円、自営業は月68,000円→75,000円(国民年金基金等との合算)
- 専業主婦・主夫(第3号)は月23,000円で据え置き
つまり、これからは「より長く・より多く」積み立てられるようになります。受け取りの工夫とあわせて、入口でもしっかり活用していきましょう。


まとめ:出口戦略で手取りが大きく変わる
- ✅ iDeCoは受け取り時に税金がかかる。受け取り方で手取りが大きく変わる
- ✅ 退職所得控除に収まるなら一時金が最強
- ✅ 2026年改正:退職金との間隔は「iDeCo先→10年」「退職金先→19年」
- ✅ 多くの会社員は一時金+年金の併用が現実解
- ✅ 退職前に必ずシミュレーション。年金事務所の無料相談も活用
iDeCoは「入口(積立)」も「出口(受取)」も、知っているかどうかで結果が大きく変わる制度です。難しく感じたら、いつでもFPに相談するから気軽に聞いてくださいね🐾

