【完全保存版】相続税対策の基本|暦年贈与・相続時精算課税の使い分け
2024年改正で生前贈与のルールが大きく変わった。
暦年贈与の「7年加算」と「相続時精算課税の110万円控除」を使い分け、合法的に家族の手取りを最大化する基本戦略を解説します。
目次
1. 相続税のかかる人・かからない人
相続税は実は「亡くなった人の9%程度」にしかかかりません。基礎控除があるため、ほとんどのケースで非課税です。
基礎控除の計算式
- 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
- 例:配偶者+子2人なら 3,000万円 + 600万円×3 = 4,800万円まで非課税
つまり
夫が亡くなり妻+子2人が相続する場合、遺産が4,800万円以内なら相続税ゼロ。マイホーム+預金で5,000万円程度の家庭はギリギリ非課税圏。
夫が亡くなり妻+子2人が相続する場合、遺産が4,800万円以内なら相続税ゼロ。マイホーム+預金で5,000万円程度の家庭はギリギリ非課税圏。
2. 基礎控除と税率早見表
法定相続人の人数別 基礎控除
| 法定相続人 | 基礎控除額 |
|---|---|
| 配偶者のみ | 3,600万円 |
| 配偶者+子1人 | 4,200万円 |
| 配偶者+子2人 | 4,800万円 |
| 配偶者+子3人 | 5,400万円 |
| 子1人のみ | 3,600万円 |
相続税の超過累進税率
| 取得金額(控除後) | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 1,000万円以下 | 10% | — |
| 3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
| 5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
| 1億円以下 | 30% | 700万円 |
| 2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
| 3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
| 6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
| 6億円超 | 55% | 7,200万円 |
3. 2024年改正:暦年贈与の「持戻し7年」
2024年1月から、暦年贈与(年110万円までの非課税贈与)のルールが大きく変わりました。相続発生前3年→7年に「持戻し」期間が延長されたのです。
暦年贈与の基本
- 年110万円までは非課税で贈与可能(受贈者1人あたり)
- 毎年コツコツ贈与すれば10年で1,100万円無税移転
- 贈与契約書+現金移動の証拠を残す必要
改正後の「持戻し」
| 贈与時期 | 相続税への加算 |
|---|---|
| 相続発生3年以内 | 全額加算(従来同じ) |
| 相続発生4〜7年前 | 合計100万円差引き後の額を加算(新ルール) |
| 相続発生8年以上前 | 加算なし(完全非課税確定) |
注意
75歳・80歳以降の高齢者では「持戻し7年」を超える前に相続発生する可能性が高まる。暦年贈与は60〜70代から早めに始めるのが鉄則。
75歳・80歳以降の高齢者では「持戻し7年」を超える前に相続発生する可能性が高まる。暦年贈与は60〜70代から早めに始めるのが鉄則。
4. 相続時精算課税の新ルール(110万円控除)
相続時精算課税は「2,500万円までを贈与時点では非課税にし、相続時にまとめて精算する」制度。2024年改正で年110万円の基礎控除が新設され、使い勝手が大幅に向上しました。
改正後のメリット
- 年110万円までは贈与税も相続税も非課税(持戻し対象外)
- 累計2,500万円までの一時贈与は贈与時の税ゼロ(相続時に精算)
- 暦年贈与の「7年持戻し」のような不安要素がない
デメリット
- 一度選択すると暦年贈与に戻れない(受贈者×贈与者の組み合わせ単位)
- 申告が毎年必要(年110万円以内でも申告書提出)
- 不動産を相続時精算課税で贈与すると、相続時の評価が「贈与時の高い評価額」で固定されるリスク
5. どっちを選ぶ?フローチャート
選択フロー
Q1:贈与者が60代前半まで?
Yes → 暦年贈与でOK(7年持戻しまで時間がある)
No → Q2へ
Q2:贈与者が70代以上で、相続発生リスクが高い?
Yes → 相続時精算課税の年110万円控除を使う(持戻し対象外)
No → 状況に応じて併用検討
Q3:一気に大型贈与(住宅資金等)したい?
Yes → 相続時精算課税の2,500万円特別控除+住宅取得資金贈与特例を活用
Q1:贈与者が60代前半まで?
Yes → 暦年贈与でOK(7年持戻しまで時間がある)
No → Q2へ
Q2:贈与者が70代以上で、相続発生リスクが高い?
Yes → 相続時精算課税の年110万円控除を使う(持戻し対象外)
No → 状況に応じて併用検討
Q3:一気に大型贈与(住宅資金等)したい?
Yes → 相続時精算課税の2,500万円特別控除+住宅取得資金贈与特例を活用
6. 小規模宅地等の特例で評価8割引き
相続税対策の最強の特例がこれ。被相続人が住んでいた自宅の土地は、配偶者または同居親族が相続すれば330㎡まで評価が80%減されます。
適用パターン
| 区分 | 限度面積 | 減額率 |
|---|---|---|
| 特定居住用宅地(自宅) | 330㎡ | 80%減 |
| 特定事業用宅地 | 400㎡ | 80%減 |
| 貸付事業用宅地 | 200㎡ | 50%減 |
適用シミュレーション
東京都内の自宅土地(評価額1億円・280㎡)の場合:
- 特例なし:1億円が課税対象
- 特例適用:1億円×(1 − 0.8) = 2,000万円に圧縮
- 差額8,000万円が課税対象から外れる
注意
別居の子が自宅を相続する場合は適用に厳しい条件(「家なき子特例」等)。生前から税理士と検討し、相続時にトラブルにならない遺産分割を準備する。
別居の子が自宅を相続する場合は適用に厳しい条件(「家なき子特例」等)。生前から税理士と検討し、相続時にトラブルにならない遺産分割を準備する。
7. 生命保険を使った非課税枠の活用
生命保険の死亡保険金には「500万円 × 法定相続人数」の非課税枠があります。
非課税枠の計算
- 法定相続人3人:500万円×3=1,500万円まで非課税
- 法定相続人4人:500万円×4=2,000万円まで非課税
活用テクニック
- 掛け捨ての生命保険(収入保障保険・定期保険)を契約し、受取人を法定相続人に指定 → 死亡保険金の非課税枠を活用
- 受取人を配偶者ではなく子に指定すると、配偶者の二次相続対策にもなる
- 非課税枠の活用は「掛け捨て型」で十分。一時払終身保険のような貯蓄型は手数料が大きく運用効率が悪いため、FPねことしては推奨しない
- すでに保有している預貯金は新NISA等の運用へ。非課税枠は別途、掛け捨て生命保険で確保する設計が合理的
FPねこの方針
「貯蓄型保険(終身保険・養老保険)」は運用効率が悪く、FPねこサイトでは推奨しません。必要なのは「掛け捨ての生命保険」「火災保険」「対人対物無制限の自動車保険」の3つだけ。相続対策で生命保険非課税枠を使う場合も、掛け捨て型で十分です。
「貯蓄型保険(終身保険・養老保険)」は運用効率が悪く、FPねこサイトでは推奨しません。必要なのは「掛け捨ての生命保険」「火災保険」「対人対物無制限の自動車保険」の3つだけ。相続対策で生命保険非課税枠を使う場合も、掛け捨て型で十分です。
8. FPねこの結論:5つの黄金ルール
FPねこの結論:相続税対策の5つの黄金ルール
1. まず正確な財産棚卸し(預金・不動産・株・保険・退職金・年金)
2. 60代から暦年贈与スタート、80代では相続時精算課税にスイッチ
3. 小規模宅地等の特例を最大活用できる遺産分割を設計
4. 生命保険の非課税枠(500万円×相続人数)をフル活用
5. 遺言書(公正証書遺言)を作って遺産分割の揉め事を防止
1. まず正確な財産棚卸し(預金・不動産・株・保険・退職金・年金)
2. 60代から暦年贈与スタート、80代では相続時精算課税にスイッチ
3. 小規模宅地等の特例を最大活用できる遺産分割を設計
4. 生命保険の非課税枠(500万円×相続人数)をフル活用
5. 遺言書(公正証書遺言)を作って遺産分割の揉め事を防止
相続対策は「やるかやらないかで1,000万円以上の差」が普通に出る世界です。資産規模が基礎控除を超える可能性がある家庭は、できるだけ早く専門家に相談を。具体的には税理士・司法書士・FPの3者連携が理想です。
免責事項
本記事は2026年5月時点の税制に基づく一般的な情報提供で、個別の税務助言ではありません。相続対策は個別事情で大きく変わるため、必ず税理士・司法書士・FPと相談のうえ計画してください。

質問相続税対策って、お金持ちだけの話ですよね?

FPねこそうとも限らないにゃ🐾 基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」。都市部に持ち家があると、これを超えて課税対象になる家庭は意外と多い。対策の基本は暦年贈与(年110万円までの非課税枠)や相続時精算課税の使い分け。早くから少しずつ動くほど効果が出るから、うちは関係ないと決めつけないのが大事だにゃ。

質問生前贈与って、どう使い分ければいいの?

FPねこざっくり言うとコツコツ長期なら暦年贈与、まとまった額を早く渡すなら相続時精算課税だにゃ🐾 暦年贈与は年110万円まで非課税で、毎年続けると大きい。ただ近年は相続前の贈与の扱いが変わってきているから、大きな金額を動かす前に税理士に相談を。早めに・計画的にが相続対策の合言葉だにゃ。

