スタートアップやベンチャーで働くと、報酬の一部として「ストックオプション」をもらうことがあります。仕組みと、知らないと損する税金のポイント、付き合い方を、FPねこが解説します。
ストックオプションとは:自社株を買える権利
ストックオプション(SO)は、あらかじめ決められた価格(行使価格)で、自社の株を買える権利です。会社が成長して株価が行使価格より上がれば、安く買って高く売ることで利益を得られます。スタートアップが、給与を抑える代わりに将来の値上がり益で報いる、という形でよく使われます。「会社の成長を、社員も一緒に分かち合う」仕組みです。
税金は「種類」で大きく変わる
税制適格ストックオプション
一定の要件を満たした「税制適格」SOは、権利を行使して株を取得した時点では課税されず、売却して利益が出たときに譲渡所得(約20.315%)として課税されます。税負担が軽く、課税のタイミングも自分で選べるのがメリットです。
税制非適格ストックオプション
要件を満たさない「非適格」SOは、権利行使時に「給与所得など」として課税され(総合課税で最大約55%)、さらに売却時にも譲渡益課税がかかります。同じ権利でも税負担が大きく変わるので、自分のSOがどちらのタイプかを把握することが重要です。


「絵に描いた餅」になることも
ストックオプションは夢のある報酬ですが、注意点もあります。それは会社が成長して株価が上がらなければ、権利に価値が生まれないこと。特に未上場のスタートアップでは、会社が上場(IPO)や買収(M&A)に至らなければ、SOは行使しても売却先がなく、価値ゼロになることもあります。「将来何千万円になるかも」という期待が、絵に描いた餅で終わるリスクもあるのです。SOはあくまで「当たれば大きいボーナス」と捉え、過度に期待しないことが大切です。


権利行使のタイミングと資金
税制適格SOでも、権利を行使して株を取得するには「行使価格×株数」の資金が必要です。たとえば行使価格1株500円で1万株なら、500万円の資金が要ります。さらに、未上場株を取得しても、上場までは売却できず現金化できません。「行使に必要な資金」と「現金化のタイミング」も計画に入れておく必要があります。上場後に株価が高いうちに売って利益を確定するか、保有を続けるかも、自社の将来性と自分の資産全体のバランスで判断しましょう。


結局どうすればいい?
ストックオプションは「自社株を安く買える権利」で、税制適格なら売却時に約20%課税、非適格なら行使時に給与課税(最大約55%)と、種類で手取りが大きく変わります。まず自分のSOがどちらかを契約で確認を。ただしスタートアップの株は無価値になることもあるため、SOに依存せず、生活の土台と資産形成(NISAの分散投資)は別に固めておきましょう。

