親の介護のために仕事を辞める「介護離職」。一見やむを得ない選択に見えますが、その後の人生に大きなダメージを残しがちです。辞める前に知ってほしいことを、FPねこが解説します。
介護離職が危険な理由
介護離職は、収入の途絶・キャリアの中断・社会とのつながりの喪失という三重のダメージをもたらします。介護はいつ終わるか読めず、その間ずっと無収入。介護が終わっても、ブランクのある中高年の再就職は簡単ではありません。自分の老後資金まで削ることになりかねず、「親を支えるために辞めたのに、自分も共倒れ」という最悪の事態を招くこともあります。
辞める前に使える制度
- 介護休業給付:休業前賃金の67%・対象家族1人つき通算93日(3回分割可)
- 介護休暇:年5日(対象家族1人)の短い休み
- 勤務時間の短縮・時差出勤・在宅勤務:両立支援制度を活用
- 介護保険サービス:訪問介護・デイサービス・ショートステイなど


まず相談すべき2つの窓口
介護が必要になったら、辞めると決める前に、まず2つの窓口に相談しましょう。ひとつは勤務先。介護休業・介護休暇・時短勤務などの両立支援制度を確認します。もうひとつは地域包括支援センター。これは介護の総合相談窓口で、無料で使えます。要介護認定の申請から、ケアマネジャーの紹介、地域の介護サービスの案内まで、何から始めればいいかを教えてくれます。この2つに相談すれば、「辞めずに両立する道」が見えてくることが多いのです。


お金の現実も直視する
介護離職を考えるとき、感情だけでなくお金の現実も直視しましょう。仕事を辞めれば、毎月の給与収入が途絶え、厚生年金の加入も止まり、将来もらえる年金も減ります。さらに、自分の生活費と親の介護費用の両方を、貯蓄から取り崩すことになります。介護が長期化すれば、貯蓄が底をつくリスクも。一方、働き続けて介護サービスを利用すれば、その費用は介護保険で1〜3割負担に抑えられます。「介護離職して自分が介護する」より「働いて稼ぎ、プロのサービスを使う」ほうが、家計全体では合理的なことが多いのです。




結局どうすればいい?
介護離職は収入途絶・キャリア中断・老後資金の毀損という大きなリスクを伴います。「自分が全部やる」のではなく、介護休業給付・介護休暇・時短勤務・介護保険サービスを使って「両立」するのが基本。介護休業93日は体制を整える準備期間です。辞める前に、必ず勤務先と地域包括支援センターに相談しましょう。働いて稼ぎ、プロのサービスを使うほうが、家計全体では合理的です。

