家賃、間取り、駅からの距離、築年数——物件探しでは、いろいろな条件を比べますよね。でも「ガスの種類」を条件に入れている人は、驚くほど少ない。
実はここ、毎月の固定費に直結する、かなり大きなポイントです。プロパンガスの物件を何も知らずに選んでしまうと、住み始めてから「ガス代、こんなに高いの?」と驚くことになります。しかも賃貸では、入居者の意思でガス会社を変えることが基本的にできません。
この記事では都市ガス・プロパンガス・オール電化の3つを比較し、なぜプロパンは高くなるのかという構造、そして2024〜2025年の法改正で何が変わったのかまで整理します。結論は先に言ってしまうと、お金を貯めたいなら都市ガス物件です🐾
先に結論
- ◎お金の面では都市ガス物件が一択。プロパンとの差は年3.6万〜9万円。家賃に換算すると月3,000〜7,500円分——これは物件のグレードが一段変わる金額です
- ✕プロパンは完全な自由料金で、しかも賃貸では会社を選べません。大家さんとガス会社が契約しているためで、入居者に選択権がないのが最大の問題です
- ◎ただし2024〜2025年の法改正で状況は改善しました。設備費用をガス料金に上乗せする慣行が禁止され、契約前に料金を確認できるようになっています
- △オール電化は「次善の策」。ガスの基本料金が不要になる一方、給湯がエコキュートか電気温水器かで光熱費が大きく変わります。ここは必ず確認を
- ◎物件探しの段階で「都市ガス」で絞り込むのが最も確実。ただし立地や家賃が完璧なら妥協もアリ——その場合はガス料金を契約前に確認してから決めましょう
① まず3つの違いを一覧で
| 項目 | 都市ガス | プロパン(LPガス) | オール電化 |
|---|---|---|---|
| 料金の決まり方 | 規制あり・比較的透明 | 完全な自由料金 | 電力会社の料金プラン |
| 料金水準 | 安い | 都市ガスの約1.5〜2倍 | 給湯設備しだい |
| 賃貸で会社を選べる? | 選べる(自由化済み) | 選べない | 電力会社は選べる |
| 基本料金 | 電気+ガスの2本 | 電気+ガスの2本 | 電気の1本のみ |
| 火力・調理 | 直火で強い | 直火で強い(発熱量は都市ガスの約2.2倍) | IH(好みが分かれる) |
| 災害時 | 復旧はやや遅い | 個別供給で復旧が早い | 停電ですべて止まる |
| 物件の多さ | 都市部に多い | 郊外・地方に多い | 限られる |
こうして並べると、プロパンにも良いところはあるのがわかります。火力が強く、災害時の復旧が早いのは本当の強みです。問題は料金と、選べないこと——ここに尽きます。
② なぜプロパンは高くなるのか──構造の話
誤解のないように書いておくと、プロパンガス会社が悪徳だから高い、という単純な話ではありません。そういう構造になっているのです。理由は3つあります。
- ① 運び方のコスト…都市ガスは地下のパイプラインでまとめて届くのに対し、プロパンはボンベを人が車で各家庭に運ぶ。この手間の差がそのままコストの差になります。これは仕方のない部分です
- ② 完全な自由料金…プロパンの料金は各社が自由に決められます。だから同じ地域・同じ使用量でも、会社によって金額がまったく違う。実際、平均的な価格は適正価格の1.5倍ほどという指摘もあります
- ③ 賃貸では入居者が会社を選べない…ここが最大の問題です。ガス会社と契約しているのは大家さん。入居者はその物件に決まっているガス会社と契約するしかありません。高いと思っても、乗り換えられないのです
「無償貸与」という商慣行
そして③の背景にあるのが、無償貸与(無償配管)と呼ばれてきた商慣行です。仕組みはこうです。
🔺 無償貸与のしくみ
①ガス会社が大家さんに、本来は大家さんが負担すべき設備(給湯器・エアコン・Wi-Fi機器など)を「無償」で提供する
②その見返りとして、大家さんはその物件の入居者を、そのガス会社と契約させる
③ガス会社は、無償提供した設備のコストを入居者のガス料金に上乗せして回収する
つまり大家さんが負担すべきだった費用を、知らないうちに入居者が毎月のガス代で払わされていた——これが長年続いてきた構造です。
入居者からすると「なぜこんなに高いのか」がわからないのが厄介でした。明細を見ても設備の費用だとは書かれていないからです。
③【重要】2024〜2025年の法改正で、ここが変わりました
ここまで読んで「ひどい話だ」と感じた方も多いと思います。実はこの慣行、国も問題視して法規制に踏み切りました。
液化石油ガス法(液石法)の施行規則が改正され、段階的に施行されています。
| 施行時期 | 内容 |
|---|---|
| 2024年7月2日 | 過大な営業行為の禁止/LPガス料金等の情報提供。入居を検討している人に、契約前にガス料金を示すことが求められるようになりました |
| 2025年4月2日 | 三部料金制の徹底。料金を「基本料金・従量料金・設備料金」に分けて表示することが義務化され、ガスと関係のない設備費用(エアコン・Wi-Fi機器など)をガス料金に計上することが禁止されました。さらに賃貸住宅向けでは、ガス器具などの消費設備費用も計上禁止です |
つまり「大家さんの設備代を入居者のガス代に紛れ込ませる」というやり方は、もうできません。これは借りる側にとって、かなり大きな前進です。
ただし、変わっていないこともあります。それは「賃貸では入居者がガス会社を選べない」という構造そのもの。ガス会社を決めるのは今も大家さんです。透明性は上がったけれど、選択権が手に入ったわけではない——ここは冷静に押さえておきましょう。だから「契約前に料金を確認する」ことが、これまで以上に大事になります。
④ 実際、いくら違うのか
気になるのは金額ですよね。プロパンは都市ガスの約1.5〜2倍というのが一般的な目安です。世帯別に見てみましょう。
| 世帯 | 月の差額(目安) | 年間の差額 | 4年間では |
|---|---|---|---|
| 一人暮らし | 約3,000円 | 約3.6万円 | 約14万円 |
| 2人暮らし | 約4,000円 | 約4.8万円 | 約19万円 |
| 4人家族 | 約4,000〜7,500円 | 約4万〜9万円 | 約16万〜36万円 |
ここで発想を変えてみてください。「ガス代が月3,000円高い」=「家賃が月3,000円高いのと同じ」です。物件探しで家賃3,000円の差はけっこう真剣に悩むのに、ガスの種類は見ていない——これはすごくもったいないと思いませんか。
しかも家賃と違ってガス代は交渉で下げられません(賃貸では会社も選べません)。入居した時点で、その差額を払い続けることが確定するのです🐾

都市ガスなら同じ使い方で5,000〜6,000円くらいのことも多いにゃ。この差が毎年、住んでいる間ずっと続くのがつらいところにゃ。
ちなみにお風呂によく浸かる人ほど差が大きくなるにゃ。シャワー派か湯船派かでも変わってくるにゃ🐾

⑤ オール電化はどうなのか
「じゃあオール電化なら安心?」——ここは一概に言えません。ガスの基本料金がなくなるのは確かにメリットですが、賃貸のオール電化には見落としがちな分かれ道があります。
💡 最大の分岐点:給湯が「エコキュート」か「電気温水器」か
エコキュートは大気の熱を利用してお湯を沸かす仕組みで、電気温水器のおよそ4分の1のエネルギーで済みます。
一方電気温水器は電気ヒーターで直接お湯を沸かすため、同じお湯を沸かすのに電気代が数倍かかります。
賃貸のオール電化物件には古い電気温水器のままのところもあり、その場合は光熱費がまったく安くなりません。内見のときに必ず確認してください——これがオール電化物件を見るときの最重要チェックです。
そのほかの注意点も挙げておきます。
- 湯切れ…オール電化は夜間の安い電気でお湯を沸かしてタンクに貯めておく方式。使いすぎるとタンクが空になってお湯が出なくなります。来客が多い日などは注意が必要です
- 停電に弱い…停電するとすべて止まります。調理も給湯も暖房もできません。この点はボンベで個別供給されるプロパンのほうが災害に強いのは事実です
- 電気代の高騰に丸ごと影響を受ける…光熱費を電気に一本化するということは、電気代が上がったときの影響をまともに受けるということでもあります
- IHの好み…火力や調理器具の制約が気になる人もいます。ここは完全に好みの問題です
まとめるとオール電化は「エコキュートなら十分アリ、電気温水器なら要注意」。都市ガスの次点という位置づけが妥当だと私は考えています🐾
⑥ 物件探しでどうするか
いちばん確実なのは物件探しの入口で絞ってしまうことです。
- ① 検索条件で「都市ガス」を選ぶ…主要な物件サイトにはガスの種類で絞り込む条件があることがほとんど。最初からプロパン物件を候補に入れないのが、いちばん手っ取り早い方法です
- ② 物件情報の「設備」欄を見る…「都市ガス」「プロパンガス」「LPG」「オール電化」と書かれています。記載がなければ不動産会社に確認を
- ③ 内見のときに聞く…オール電化なら「給湯はエコキュートですか、電気温水器ですか」。プロパンなら「ガス会社と、標準的な料金を教えてください」。法改正により契約前の料金情報の提供が求められているので、堂々と聞いて大丈夫です
ただし「絶対にプロパンはNG」ではありません
ここは正直に書いておきます。プロパンを避けるのはあくまで“優先順位”の話であって、絶対のルールではありません。
物件選びは立地・家賃・間取り・築年数・日当たりなど、たくさんの条件の総合点で決まります。ガス以外の条件が完璧な物件に出会ったなら、妥協するのもアリです。年間3.6万円の差も、通勤時間が毎日30分短くなる価値と比べたら、人によっては後者を選ぶでしょう。
ただしおすすめはしません。妥協するなら、せめて①契約前にガス料金を確認する②冬のガス代がいくらになるか試算する③その金額を家賃に足して、他の物件と比べ直す——この3つはやってください。知ったうえで選ぶのと、知らずに選んで後悔するのは、まったく別のことです🐾
⑦ すでにプロパン物件に住んでいる人へ
「もう住んでるんだけど…」という方も多いはずです。打つ手がないわけではありません。
- ① 明細を確認する…2025年4月から「基本料金・従量料金・設備料金」の内訳表示が義務になりました。設備料金の欄に不自然な金額が乗っていないかを確認しましょう。賃貸ではガス器具などの設備費用を計上することは禁止されています
- ② ガス会社に値下げを相談する…自由料金ということは、交渉の余地があるということでもあります。「近隣の相場と比べて高いように思うのですが」と、まずは穏やかに聞いてみましょう
- ③ 大家さん・管理会社に相談する…ガス会社を決めているのは大家さんです。同じ物件の入居者から複数の声が上がれば、見直しが検討されることもあります
- ④ 使い方を工夫する…プロパンはお湯を沸かすのに一番ガスを使います。シャワーの時間を短くする・追い焚きを減らす・給湯温度を下げるだけでも、体感できるレベルで変わります
- ⑤ 次の更新で引っ越しを検討する…年3.6万〜9万円の差なら、数年住むつもりなら引っ越し費用を回収できる可能性もあります
よくある質問(猫がお答えします)

だから入居する前に選ぶのがすべてなんだにゃ。入ってしまうと、その料金を払い続けるしかなくなるにゃ。
ただし値下げ交渉はできるにゃ。自由料金ってことは会社の裁量で下げられるってことでもあるからにゃ。ダメ元で聞いてみる価値はあるにゃ🐾


今までは大家さんの設備代がガス代に紛れ込んでいたのを禁止して、料金の内訳を分けて表示させるようにしたにゃ。だから上乗せぶんは減るはずだし、契約前に料金を確認できるようになったのは大きいにゃ。
でもプロパンが自由料金であることも賃貸で会社を選べないことも変わってないにゃ。都市ガスより高い傾向は残ると思っておくのが現実的にゃ🐾


ただし熱量が大きいぶん、少ない量で足りるから、単純に「2.2倍のガス代がかかる」わけじゃないにゃ。それでもトータルでは都市ガスより高くつくのが実際のところにゃ。
あと災害のときはプロパンが強いにゃ。ボンベで各家庭に置いてあるから、復旧が早いにゃ。良いところもちゃんとある子なんだにゃ🐾


エコキュートなら電気温水器の約4分の1のエネルギーで済むから、光熱費がぜんぜん違うにゃ。古い電気温水器のままの物件だと、オール電化なのに全然安くならないにゃ。
あとはタンクの大きさも聞いておくといいにゃ。小さいと湯切れしやすいからにゃ。家族が多いなら特に大事にゃ🐾


その場合はプロパンかオール電化の二択になるにゃ。エコキュートのオール電化なら有力候補にゃ。
プロパンしかないなら、契約前にガス料金を確認するのを忘れずににゃ。同じプロパンでも会社によって料金がぜんぜん違うから、物件ごとに聞いて比べる価値はあるにゃ🐾

まとめ
- お金を貯めたいなら都市ガス物件。プロパンとの差は年3.6万〜9万円、4年で15万〜36万円。家賃が月3,000〜7,500円高いのと同じです
- プロパンが高くなるのは構造の問題。運搬コスト+完全な自由料金+賃貸では入居者が会社を選べないの3つが重なっています
- 背景にあった「無償貸与」——大家さんの設備代を入居者のガス代で回収する慣行は、2024〜2025年の法改正で規制されました。三部料金制で内訳が見えるようになり、契約前に料金を確認できます
- ただし「選べない」構造は変わっていません。だからこそ入居前に選ぶことがすべてです
- オール電化は次善の策。分かれ道はエコキュートか電気温水器か。内見時に必ず確認を
- 物件探しの検索条件で「都市ガス」を選ぶのがいちばん確実。他の条件が完璧なら妥協もアリですが、そのときは必ずガス料金を確認して、家賃に足して比べ直すこと🐾
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※本記事は2026年7月時点の一般的な情報提供です。本文中のガス料金の比較(プロパンガスは都市ガスの約1.5〜2倍、世帯別の月額・年間差額など)は各種公表資料にもとづく一般的な目安であり、地域・ガス会社・使用量・季節・契約内容により大きく異なります。プロパンガス(LPガス)は自由料金であるため、同一地域内でも事業者ごとに料金が異なります。液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律の施行規則改正については、2024年4月2日に公布され、過大な営業行為の禁止およびLPガス料金等の情報提供が2024年7月2日に、三部料金制の徹底(設備費用の外出し表示・LPガス料金への計上禁止)が2025年4月2日に施行されています。制度の詳細・適用範囲・既存契約の取扱いについては経済産業省および資源エネルギー庁の公表資料をご確認ください。オール電化に関する記述(エコキュートは電気温水器の約4分の1のエネルギーで給湯できる等)は一般的な性能の目安であり、機種・年式・使用状況により異なります。都市ガスとプロパンガスの発熱量の比較(約2.2倍)は標準的な数値です。物件の設備仕様・ガス種別・ガス会社および料金については、必ず不動産会社・管理会社・ガス事業者にご確認のうえ、ご自身の判断で物件をお選びください。本記事は特定の物件・事業者・契約形態を推奨するものではありません。

