会社員と違い、自営業・フリーランスには退職金も手厚い節税の仕組みもありません。それを自分で作れるのが小規模企業共済と経営セーフティ共済(倒産防止共済)。掛金が全額所得控除・全額経費になり、節税しながら「退職金」や「もしもの備え」を準備できる、個人事業主の最強クラスの制度です。2つの違いと使い方を解説します。
先に結論:自営業の「退職金づくり」と「経費で節税」の2本柱
- ◎小規模企業共済=掛金が全額所得控除(年最大84万円)。自分の退職金を積み立てる
- ◎経営セーフティ共済=掛金が全額経費(年最大240万円)。取引先倒産への備え+課税の繰り延べ
- ✕小規模企業共済は20年未満の任意解約で元本割れ。経営セーフティ共済は2024年10月の改正に注意
2つの共済の違い(早見表)
| 項目 | 小規模企業共済 | 経営セーフティ共済 |
|---|---|---|
| 掛金(月) | 1,000〜70,000円 | 5,000〜200,000円 |
| 年間の上限 | 84万円 | 240万円 |
| 税の扱い | 全額が所得控除 | 全額が損金・必要経費 |
| 主な役割 | 自分の退職金づくり | 取引先倒産への備え |
| 受取・解約 | 廃業・退職で共済金(退職所得等) | 40か月以上で100%戻る(益金) |
※どちらも独立行政法人 中小企業基盤整備機構の制度。加入には事業規模などの要件があります。
① 小規模企業共済:自分の退職金を作りながら節税
小規模企業共済は、個人事業主や小規模企業の役員が、廃業・退職に備えて積み立てる「経営者の退職金」制度です。最大の魅力は掛金(月1,000〜70,000円)が全額所得控除になること。年間最大84万円を所得から差し引けるので、節税効果が非常に大きいです。
- 受け取りは廃業・退職時。一括なら退職所得(退職所得控除)、分割なら公的年金等控除と、出口の税制も優遇
- 掛金は月単位で増減可能。資金繰りに合わせて調整できる
- 注意:加入20年(納付月数240か月)未満で任意解約すると元本割れの可能性。長く続ける前提の制度
② 経営セーフティ共済:経費にしながら倒産に備える
経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)は、取引先が倒産したときに、無担保・無保証で借入ができる制度です。掛金(月5,000〜200,000円)は全額が損金・必要経費になり、年間最大240万円・累計800万円まで積み立てられます。
- 取引先が倒産したら、積立額の10倍(上限8,000万円)までを借り入れできる
- 40か月以上納めて解約すれば、掛金が100%戻る(12か月未満は0円)
- 注意:解約手当金は受取時に益金(課税)。掛けたときに経費、戻すときに収入=「課税の繰り延べ」。退職や赤字の年に解約するなど出口の設計が重要
【2024年10月改正】経営セーフティ共済の注意点
2024年10月1日以降に経営セーフティ共済を解約すると、解約日から2年間は再加入しても掛金を損金(必要経費)に算入できないようになりました。「節税目的で解約→すぐ再加入」を繰り返す使い方が封じられた形です。解約のタイミングは、この2年ルールも踏まえて慎重に判断しましょう。

NISA・iDeCoと、この共済はどちらを優先すべき?
目的が違うので順番で考えるといいにゃ🐾 まずはNISAで非課税運用、自営業なら小規模企業共済(全額所得控除+退職金)も強力。経営セーフティ共済は「節税」というより倒産への備え+課税の繰り延べで、出口で課税される点に注意。手元資金とのバランスを見て、無理のない範囲で組み合わせるのがコツだよ。


経営セーフティ共済は「節税になる」と聞いたけど本当?
正確には「課税の繰り延べ」にゃ。掛けた年は経費で税金が減るけど、解約して戻すと益金(収入)になって課税される。だから税率が高い年に積んで、退職や赤字の年に解約すれば差額が得になる。ただ漫然と続けて利益が出ている年に解約すると、結局そこで課税されるので「節税」にならないこともある。出口設計が肝心だよ。


小規模企業共済は途中でやめると損するの?
任意解約の場合、納付月数240か月(20年)未満だと受け取れる額が掛金を下回る(元本割れ)ことがあるにゃ。だから「無理なく続けられる金額」で始めるのが鉄則。掛金は月1,000円から下げられるし、資金繰りが厳しいときは減額もできる。廃業や退職での受け取りなら退職所得扱いで優遇されるよ。

まとめ
- 小規模企業共済=掛金全額が所得控除(年最大84万円)。自営業の退職金づくり
- 経営セーフティ共済=掛金全額が経費(年最大240万円)。倒産への備え+課税の繰り延べ
- 小規模企業共済は20年未満の任意解約で元本割れに注意
- 経営セーフティ共済は解約手当金が課税。出口設計が重要
- 2024年10月から、解約後2年間は再加入しても損金不算入
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※本記事は2026年6月時点の制度をもとにした一般的な解説です。掛金上限・税の扱い・解約時の取り扱い・加入要件・2024年10月改正の詳細は、中小企業基盤整備機構や税務署、税理士にご確認ください。元本割れ・課税のリスクがあります。

