ただし——「安全でおいしい」と「増える」はまったく別の話。デメリットを4つ、正直にお伝えします🐾
日本が長く続いた低金利から抜け出しつつあるなかで、個人向け国債の利率は目に見えて上がってきました。「元本保証で年2%」は、数年前なら考えられなかった条件です。
ただ、こういう商品が魅力的に見えるときこそ、デメリットを先に知っておくべきだと思っています。個人向け国債には、パンフレットの表紙には書いていない“3つの縛り”があるからです。
この記事では、メリットとデメリットを両方フラットに並べたうえで、「どのお金を国債に置くべきか」という一番大事な話までお伝えします。なお3種類(変動10年・固定5年・固定3年)の詳しい比較はこちらの記事に、MRFとの比較はこちらにまとめています🐾
先に結論
- ◎メリットは「完全元本保証で、いまの利率が高い」こと。2026年8月募集分は固定5年2.06%・変動10年1.87%・固定3年1.71%。償還金額は額面100円につき100円で、中途換金時も同じ——元本が減る場面が制度上ありません
- !デメリット①:インデックスのリターンには勝てません。仮に年5%で回った場合、100万円を10年で約163万円。国債(税引後1.49%)なら約116万円。ただしインデックスは元本割れもあり得る——勝ち負けではなく役割が違うのです
- !デメリット②:発行後1年間は原則として換金できません。例外は災害救助法の適用対象となった大規模な自然災害の被害と保有者本人が亡くなられた場合のみ。生活防衛資金そのものを国債にするのは不適切です
- !デメリット③:中途換金には調整額があります。直前2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685が差し引かれる=ざっくり「直近1年分の利子を返す」イメージ。1年ちょうどで換金すると利子は実質ゼロになります(元本は無傷)
- △デメリット④:固定3年・固定5年は、その後の利上げについていけません。金利がさらに上がっても利率は満期まで動かない。金利の方向が読めないなら、半年ごとに見直される変動10年が無難です🐾
① まず30秒:個人向け国債の“公式ルール”
細かい商品説明は3種類の比較記事に譲りますが、メリット・デメリットを語るうえで前提になるルールだけ押さえておきます。
| 項目 | 内容(財務省の商品概要より) |
|---|---|
| 3つの種類 | 変動10年(半年ごとに利率が変わる)/固定5年/固定3年(満期まで利率が変わらない) |
| 利率の決まり方 | 変動10年=基準金利×0.66/固定5年=基準金利−0.05%/固定3年=基準金利−0.03% |
| 金利の下限 | 年0.05%を保証。どれだけ金利が下がってもこれを下回りません |
| 償還金額 | 額面金額100円につき100円(中途換金時も同じ)=元本が減らないということ |
| 購入単位 | 最低1万円から1万円単位 |
| 利子 | 半年ごとに年2回。受取時に20.315%が課税されます |
| 中途換金 | 発行後1年経過すればいつでも可能。ただし直前2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685が差し引かれます |
| 発行 | 毎月(年12回)。いつでも買えます |
② メリット:元本保証の商品としては、いま本当に“おいしい”
※財務省の公表による2026年8月募集分(募集期間2026年8月6日〜8月31日、発行日2026年9月15日)の適用利率。利率は毎月見直され、募集回ごとに変わります。税引後は20.315%の課税を差し引いた概算です。変動10年は基準金利×0.66、固定5年は基準金利−0.05%、固定3年は基準金利−0.03%で決まり、いずれも年0.05%の最低金利が保証されています。
ここは素直に評価すべきところです。「元本が保証されていて、年1.7〜2.1%」という条件は、低金利時代には存在しませんでした。個人向け国債の強みを整理すると、こうなります。
- 元本が減る場面が制度上ない…償還金額は額面100円につき100円で、しかも中途換金時も同じ。株や投資信託のような値動きがそもそもありません
- 発行体が日本国…銀行預金の1,000万円までという保護の枠すら関係ありません。まとまった金額をそのまま置けるのは大きな利点です
- 1万円から・毎月発行…始めるハードルが低く、買いたいと思ったときに買えます
- 最低金利0.05%の保証…仮に日本がまた超低金利に戻っても、下限が決まっているのは安心材料です
いま「固定5年」が一番高いのは、なぜ?
市場がすでに“将来の利上げ”を織り込んでいるからふつうに考えれば、10年拘束される変動10年のほうが高くていいはずです。それなのに固定5年(2.06%)が変動10年(1.87%)を上回っている——これは市場が「これから金利は上がる」と見ていることの表れです。
変動10年の利率は基準金利×0.66と、あえて低めに設定される仕組みになっています。今の利率だけを見て「固定5年が得」と決めるのは早い——この点は⑥でくわしく扱います🐾
③ デメリット①:オルカンなどインデックスのリターンには勝てない
ここがいちばん大事な論点です。当サイトは長期の資産形成はインデックス投資一択という立場をとっています(→オルカンとは)。その前提で言えば、個人向け国債は「増やす商品」ではありません。
※イメージ図です。国債は変動10年の税引後1.49%が10年続いたと仮定した単純な複利計算、インデックスは年平均5%で増えつつ毎年上下に振れたと仮定した例で、いずれも将来の運用成果を示すものでも保証するものでもありません。インデックスの5%はあくまで説明のための仮定であり、実際には10年後に元本を割っている可能性もあります。一方で国債の折れ線は「必ずこの通りになる」線です——ここが決定的な違いです。
10年で約47万円の差。20年、30年と延ばせば、この差は加速度的に開きます。「元本保証で2%」は、資産形成の主役にはなり得ません。
ただし——これは「国債が劣っている」という意味ではありません。上のグラフで、インデックスの線がぎざぎざしていることに注目してください。途中で元本を割っている年があるのです。実際の相場では1年で3割下がることも普通にあります。
つまり2つは比べる土俵が違う。インデックスは「10年以上動かさなくていいお金」を増やす道具、国債は「減らしたくないお金」を置いておく場所です。どちらか一方を選ぶのではなく、お金の役割ごとに使い分けるのが正解です(→⑦)🐾
④ デメリット②:発行後1年間は、原則として換金できない
意外と知られていないのがこれです。個人向け国債は、買ったあと1年間は動かせません。
※財務省の商品概要に基づく。発行後1年経過すればいつでも中途換金できますが、直前2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685が差し引かれます(0.79685は利子受取時に20.315%が課税済みのため)。計算例は100万円・年2.06%の場合で、半年ごとの利子(税引前)10,300円×2回×0.79685=16,415円。これは受け取り済みの税引後利子2回分とちょうど同額になります。なお中途換金でも償還金額は額面100円につき100円のため、元本は減りません。
例外として認められているのは、財務省の商品概要によれば「災害救助法の適用対象となった大規模な自然災害により被害を受けられた場合」と「保有者本人が亡くなられた場合」の2つだけ。「急にお金が必要になった」という個人的な事情は含まれません。
だから、生活防衛資金そのものを国債にするのは避けてください。生活防衛資金は失業・病気・事故のときに、明日にでも引き出せることが最大の価値です。1年間ロックされる商品は、その定義から外れます。
生活防衛資金(会社員なら生活費の半年分、自営業なら1年分)は普通預金やMRFなど、すぐ動かせる場所に。国債に回すのはそのさらに外側にある、当面使う予定のないお金です(→生活防衛資金はいくら必要?)🐾
⑤ デメリット③:中途換金すると「直前2回分の利子」を返すことになる
1年を過ぎればいつでも換金できます。ただしタダではありません。財務省の表記どおりに書くと、こうです。
中途換金時の調整額 =
直前2回分の各利子(税引前)相当額 × 0.79685
0.79685という数字は「利子を受け取ったときに20.315%の税金がすでに引かれているから」その分を合わせるためのものです。つまり実質的には「直近1年分に受け取った利子を、そっくり返す」という意味になります。
| 換金するタイミング | どうなるか(100万円・固定5年2.06%の場合) |
|---|---|
| 1年未満 | そもそも換金できません(災害・死亡の特例を除く) |
| ちょうど1年 | 受け取った利子16,415円に対して調整額16,415円。利子は実質ゼロ、元本100万円は満額戻ります |
| 3年 | 3年分(6回)の利子のうち直前2回分だけを返すので、最初の2年分の利子は手元に残ります |
| 満期まで保有 | 調整額なし。利子も元本も満額です |
実はこれ、そこまで悪い条件ではありません
最悪でも「利子がゼロになるだけ」で、元本は割れない中途換金と聞くと「元本が削られる」と思いがちですが、個人向け国債は違います。償還金額は額面100円につき100円で、中途換金時も同じ。つまり調整額で持っていかれるのは利子の範囲までで、元本に食い込むことはありません。
途中解約で元本割れする商品(貯蓄型保険など)と比べれば、はるかに良心的な設計です。
とはいえ「1年で換金したら利子ゼロ」なのは事実。2年以上は置いておけるお金で買う——これが実務的な目安になります🐾
⑥ デメリット④:固定3年・固定5年は、その後の利上げについていけない
4つ目は金利変動リスクです。固定金利型(固定3年・固定5年)は、発行時の利率が満期まで一切変わりません。
| これからの金利 | 固定3年・固定5年 | 変動10年 |
|---|---|---|
| さらに上がる | 不利。低い利率のまま満期まで取り残されます | 有利。半年ごとに見直され、受取利子が増えます |
| 横ばい | やや有利。いまは固定5年のほうが利率が高いため | やや不利 |
| 下がる(デフレに逆戻り) | 有利。高い利率を満期まで確保できます | 不利。ただし年0.05%の下限は保証されます |
ここで大事なのは、「これからの金利がどうなるかは誰にも分からない」ということです。プロでも当てられません。だから当サイトの考え方はシンプルです。
金利を予想したくないなら「変動10年」。
使う時期が決まっていて、その利回りで納得できるなら「固定」。
変動10年は金利が上がればついていけて、下がっても0.05%の下限がある——予想を外しても致命傷にならない設計です。一方、「3年後に必ず使う」と決まっているお金なら、固定3年で利回りを確定させるほうが計画は立てやすくなります。金利を当てにいくのではなく、自分の使う時期に合わせる——これが判断の軸です🐾
⑦ 結局、どのお金を国債に置く?
ここまでのメリット・デメリットを踏まえると、お金の置き場は3層に分かれます。
| お金の性格 | 置き場 | 理由 |
|---|---|---|
| ①生活防衛資金 (会社員は生活費の半年分/自営業は1年分) | 普通預金・MRF | 明日引き出せることが最優先。1年ロックの国債は不可 |
| ②1〜数年以内に使う予定のお金 (住宅頭金・車・教育費・リフォームなど) | 個人向け国債 | 減らしてはいけないお金。値動きのある投資信託に入れるべきではありません。ここが国債の主戦場 |
| ③10年以上使う予定のないお金 | インデックス投資 (オルカン・S&P500) | 時間を味方につけて増やす。途中の下落に耐えられる期間があるからこそ可能 |
よくある失敗はこの3つを混ぜてしまうことです。3年後に使う頭金をオルカンに入れて暴落する、逆に老後まで使わないお金を全部国債に置いて増えない——どちらもお金の性格と置き場が合っていないだけの話です。
個人向け国債は②のための道具。そう理解すれば、この商品の価値はとても分かりやすくなります🐾
よくある質問(猫がお答えします)

一方インデックス投資は、値動きに耐えられる期間があるなら、長期では大きく伸びる可能性があるにゃ(もちろん保証はないにゃ)。
だから「全部国債」も「全部投資」も違うにゃ。すぐ使うお金は預金、数年内に使うお金は国債、10年以上使わないお金はインデックス——お金の性格で置き場を分けるのが答えにゃ🐾


だからこそ生活防衛資金は絶対に国債にしないにゃ。先に普通預金に半年分(自営業なら1年分)を確保して、それを超えた分だけ国債に回すにゃ。
順番を間違えると、いざというときにカードローンやリボ払いに手を出すことになるにゃ。それでは本末転倒にゃ🐾


変動10年は半年ごとに利率が見直されるから、金利が上がればついていけるにゃ。しかも年0.05%の下限保証があるから、下がっても致命傷にはならないにゃ。予想を外しても大けがしないのが強みにゃ。
逆に「3年後に頭金として使う」と決まっているなら、固定3年で利回りを確定させたほうが計画は立てやすいにゃ。金利を当てにいくんじゃなくて、自分が使う時期に合わせるにゃ🐾


一方で定期預金には「1年ロックがない」という強みがあるにゃ。中途解約すると金利は下がるけど、いつでも解約はできるにゃ。
あと注意なのはキャンペーン金利にゃ。「年3%!」でも3か月だけだったり、投資信託の購入がセット条件だったりするにゃ。抱き合わせ条件がないかを必ず確認にゃ🐾


違いが出るのはキャンペーンのキャッシュバックにゃ。「購入額に応じて現金プレゼント」をやっているところがあって、そこが実質的な差になるにゃ。ただし最低購入額の条件があることが多いから、条件を満たせるかどうかを確認するにゃ。
あとはすでに口座を持っているところで買うのがいちばん手間が少ないにゃ。当サイトは特定の金融機関をおすすめすることはしないから、自分で条件を見比べてにゃ🐾

まとめ
- メリットは「完全元本保証で、いまの利率が高い」こと。2026年8月募集分は固定5年2.06%・変動10年1.87%・固定3年1.71%。償還金額は額面100円につき100円で、中途換金時も同じです
- デメリット①:インデックスのリターンには勝てません。年5%と仮定すれば100万円10年で約163万円、国債なら約116万円。ただしインデックスは元本割れもあり得る——役割が違うだけです
- デメリット②:発行後1年間は原則換金できません。例外は災害救助法の適用対象となった大規模な自然災害の被害と、保有者本人の死亡のみ。生活防衛資金は国債にしないこと
- デメリット③:中途換金には調整額。直前2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685=ざっくり直近1年分の利子を返すイメージ。1年で換金すると利子は実質ゼロ(元本は無傷)。2年以上置けるお金で買うのが目安
- デメリット④:固定3年・5年は、その後の利上げに取り残されます。金利を予想したくないなら変動10年、使う時期が決まっているなら固定——これが選び方の軸です🐾
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※本記事は2026年8月19日時点の一般的な情報提供であり、特定の金融商品・金融機関の購入や利用を推奨し、または将来の運用成果・利回りを保証するものではありません。個人向け国債に関する記述(変動10年・固定5年・固定3年の3種類があること、金利設定方法が変動10年=基準金利×0.66・固定5年=基準金利−0.05%・固定3年=基準金利−0.03%であること、年0.05%の最低金利が保証されていること、利子の受け取りが半年ごとに年2回であること、購入単価が最低1万円から1万円単位であること、償還金額が額面金額100円につき100円であり中途換金時も同じであること、発行後1年経過すればいつでも中途換金が可能であること、中途換金時に直前2回分の各利子〈税引前〉相当額×0.79685が差し引かれること、中途換金の特例が災害救助法の適用対象となった大規模な自然災害による被害および保有者本人の死亡に限られること、毎月〈年12回〉発行されること、利子に20.315%が課税されること等)は、財務省が公表する個人向け国債の商品概要に基づく2026年8月時点の内容です。2026年8月募集分の適用利率(変動10年1.87%・固定5年2.06%・固定3年1.71%、募集期間2026年8月6日〜8月31日、発行日2026年9月15日)は募集回ごとに毎月見直されるため、購入時点の適用利率は必ず財務省および取扱金融機関の公式情報でご確認ください。税引後の利率および中途換金の計算例(100万円・年2.06%の場合の半年利子10,300円、調整額16,415円等)は、20.315%の課税を前提とした概算であり、実際の受取額は保有期間・利子計算期間・取扱金融機関の取扱いにより異なる場合があります。インデックス投資との比較に用いた年5%という数値は説明のための仮定であり、過去の実績でも将来の予想でもなく、これを保証するものではありません。株式や投資信託は価格変動により元本を割り込む可能性があり、個人向け国債とはリスクの性質が異なります。制度・税制・商品性は変更される場合があります。実際の購入・売却にあたっては、目論見書・パンフレット等をご確認のうえ、ご自身の判断と責任において行ってください。

