しかも中身の設計はけっこう真っ当。ただ利回りが高い株を並べただけではありません。
それでも当サイトはふつうのオルカンを推します。理由を数字で説明します🐾
2026年8月26日、三菱UFJアセットマネジメントが新しいファンドの設定を発表しました。
『eMAXIS 高配当全世界株式(オール・カントリー)〈愛称:オルカン高配当〉』。2026年9月30日に運用がスタートします。
「オルカン」の名前がついた高配当ファンド——気になった方も多いはずです。
この記事では、まずプレスリリースを直接読んで、中身を正確にご紹介します。そのうえで、当サイトがそれでも「ふつうのオルカン」を勧める理由を、数字でお伝えします🐾
先に結論
- ◎まず、悪い商品ではありません。連動する指数は配当の持続性・成長性・財務品質・株価パフォーマンスでふるいにかけたうえで、配当利回りが親指数の1.3倍以上の銘柄を採用します。「利回りが高いだけの株」を並べた指数ではありません
- ◎信託報酬も割高ではありません。年0.165%(税抜0.15%)以内。購入時手数料も信託財産留保額もゼロ。eMAXIS無印にありがちな高さはありません
- !それでも Slim オルカンの2.86倍です。0.05775% に対して 0.165%。毎月3万円を30年積み立てると、差は約48万円になります
- !そして中身が違います。アメリカが48.9%(ふつうのオルカンは63.1%)。同じ「オルカン」でも、買っているものは同じではありません
- ◎当サイトの結論は、やはりふつうのオルカン(eMAXIS Slim 全世界株式)です。いちばん安く、いちばん広い——インデックス投資はこれで十分だと考えています🐾
① まず、どんなファンドなのか
プレスリリース(2026年8月26日)に書かれている内容を、そのまま整理します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | eMAXIS 高配当全世界株式(オール・カントリー)配当払出型/資産成長型 〈愛称:オルカン高配当〉 |
| 運用会社 | 三菱UFJアセットマネジメント |
| 設定日 | 2026年9月30日(水) |
| 連動する指数 | MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス高配当利回り指数(配当込み、円換算ベース) |
| 信託報酬 | 年率0.165%(税抜 年率0.15%)以内 ※純資産5,000億円以上1兆円未満は0.1628%、1兆円以上は0.1606% |
| 購入時手数料 | ありません |
| 信託財産留保額 | ありません |
| NISA | 成長投資枠の対象(つみたて投資枠ではありません) |
| 販売会社 | SBI証券・楽天証券・マネックス証券(配当払出型はスマートプラスも) |
| 為替ヘッジ | 原則として行いません |
ひとつ大事な注意。プレスリリースには「有価証券届出書を2026年8月26日に提出しているが、届出の効力は生じていない。したがって効力が発生するまでに記載内容が訂正される場合がある」と明記されています。
つまりここに書いた内容は、まだ変わる可能性があります。買う前には必ず最新の交付目論見書をご確認ください🐾
② 2つの型があります
| 配当払出型 | 資産成長型 | |
|---|---|---|
| 分配 | 年4回(3・6・9・12月の各14日) | 分配を抑制して信託財産の成長をめざす |
| 方針 | 原則、経費等を引いた配当等収益の全額を分配 | 受け取らず、中で再投資される形 |
| 初回決算 | 2026年12月14日 | — |
| 向いている人 | 定期的に現金が欲しい人 | 資産を増やしたい人 |
資産形成が目的なら、選ぶとしても「資産成長型」です。分配金を受け取ると、そのたびに課税され、複利が効かなくなるからです(→毎月分配型をおすすめしない理由)。
③ 指数の中身は、けっこう真っ当です
ここは正直に評価します。「高配当」と聞くと「利回りの高い株を並べただけでは?」と身構えますが、この指数はそうではありません。
MSCI ACWI 高配当利回り指数の作り方
ふるいにかけてから、利回りで選んでいます親指数(MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス)の構成銘柄から、配当の持続性・配当の成長性・財務品質・株価パフォーマンスなどのスクリーニングを通します。財務品質はROE(自己資本利益率)・利益の安定性・負債比率などで評価されます。
そのうえで、配当利回りが親指数の1.3倍以上の銘柄が採用されます。
つまり「業績が苦しくて株価が下がった結果、利回りだけ高く見えている株」を弾く設計になっています。これは高配当の指数として、まっとうな作りです🐾
だから当サイトはこの商品を「地雷」だとは考えていません。ただし——それでも普通のオルカンを勧めます。理由は2つあります。
④ 理由1:中身が「オルカン」とは違います
※左は eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の2026年7月の月次レポートに記載された組入上位10ヵ国・地域の比率、右は新ファンドが連動するMSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス高配当利回り指数の国・地域別構成比率(三菱UFJアセットマネジメントがMSCI Inc.のデータを基に作成した2026年5月末現在の値)です。左は運用中のファンドの実際の組入比率、右は指数の構成比率であり、基準日も異なります。新ファンドは設定前のため、実際の組入比率はまだ存在しません。
いちばん大きいのはアメリカの比率です。ふつうのオルカンは63.1%、高配当版は48.9%。14ポイントの差があります。
逆に日本(5.0%→8.1%)やスイス(2.1%→5.9%)は厚くなります。配当利回りの高い企業が多い国に、自然と寄っていくからです。
これは良い悪いの話ではありません。「違う」という話です。
ふつうのオルカンは情報技術が29.6%と最大の業種です。高配当でふるいにかけると、成長株は配当を出さないので外れやすく、代わりに金融や生活必需品などが厚くなる傾向があります。
「オルカン」という名前から、中身も同じだと思って買うと、想像と違うものを持つことになります🐾
⑤ 理由2:コストが2.86倍です
※毎月3万円を積み立て、信託報酬を差し引く前の年率リターンを5%と仮定して月複利で計算した試算です。信託報酬以外の費用(監査費用、売買委託手数料、海外での保管費用など)、税金、分配金の影響は考慮していません。年率5%という数字は計算のための仮定であり、将来のリターンを示すものでも保証するものでもありません。実際の成績は上下し、元本を割り込むこともあります。新ファンドの信託報酬は純資産総額に応じて逓減し、5,000億円以上1兆円未満の部分は0.1628%、1兆円以上の部分は0.1606%となります。
0.165%は、それ自体は良心的な水準です。eMAXIS無印のシリーズにありがちな0.5〜0.7%といった水準ではありません。ここは評価すべき点です。
ただ、比べる相手が悪い。eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)は0.05775%。世界でもっとも安い部類です。
| 保有額 | 年間のコスト差 |
|---|---|
| 100万円 | 約1,072円 |
| 500万円 | 約5,363円 |
| 1,000万円 | 約10,725円 |
| 3,000万円 | 約32,175円 |
1年だけ見れば大した額ではありません。だからこそ見落とされます。これが20年、30年と積み上がると、冒頭の図のとおり数十万円になります。
そしてコストは、唯一「確実にコントロールできるもの」です。リターンは選べませんが、コストは選べます(→実質コストの比べ方)。
⑥ 「配当払出型」を選ぶ前に読んでほしいこと
年4回、口座にお金が入る——これは魅力的に見えます。ただし運用会社自身が、目論見書に次のように書いています。
「収益分配は、計算期間に生じた収益を超えて行われる場合があります」
「投資者の購入価額によっては、収益分配金の一部または全部が、実質的な元本の一部払戻しに相当する場合があります」
「収益分配金の支払いは、信託財産から行われます。したがって純資産総額の減少、基準価額の下落要因となります」
つまり分配金は、どこかから湧いてくるお金ではありません。自分の資産から出ています。受け取れば、そのぶん基準価額は下がります(→タコ足配当の話)🐾
しかも受け取るたびに約20%が課税されます(NISA口座なら非課税ですが、非課税枠を分配金で使い切るのはもったいないという別の問題があります)。
取り崩したいなら、必要なときに必要な分だけ売ればいい——これが当サイトの考え方です(→新NISAの出口戦略)。
⑦ 結局どれを選ぶか
※「当サイトの結論」は、長期の資産形成を目的とする方に向けた当サイトの一般的な考え方であり、特定の商品の購入を推奨するものではありません。高配当版が不適切な商品という意味でもなく、目的によっては合理的な選択になり得ます。ご自身の目的・期間・リスク許容度に照らして判断してください。
インデックス投資の強みは「安さ」と「広さ」です。市場全体を、できるだけ安く、まるごと持つ。この2つを最大化したものが、ふつうのオルカンです。
高配当版はあえて銘柄を絞り、そのぶんコストも上がります。「絞ったほうが良い結果になる」という保証はどこにもありません。
それでも高配当版が合う人
目的が「増やす」ではない人ですすでに資産形成が終わっていて、定期的な現金収入がほしい——そういう方には配当払出型が合う場面があります。売却の判断をしなくていいのは、精神的にラクだからです。
逆にこれから資産を作る段階の方には、当サイトはおすすめしません。増やすことが目的なら、安くて広いほうを選ぶべきだと考えます🐾
⑧ 結局どうすればいいのか
いま考えること
- 資産形成中なら、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)のままでいい。乗り換える理由はありません
- すでにオルカンを積み立てている人は、何もしない。新商品が出るたびに乗り換えるのがいちばん損です
- 「高配当が好き」という理由だけで選ばない。利回りは受け取り方の違いであって、儲けの大きさではありません(→インデックス vs 高配当株)
- どうしても買うなら「資産成長型」を、サブとして少額で。メインは安くて広いほうに置いてください
- 買う前に最新の交付目論見書を確認する。まだ届出の効力が発生しておらず、内容が変わる可能性があります
- 設定直後は実績がありません。指数の過去データはあっても、このファンドの運用実績はゼロです。あわてる必要はありません🐾
よくある質問










まとめ
- 2026年9月30日設定。『eMAXIS 高配当全世界株式(オール・カントリー)〈オルカン高配当〉』
- 指数の設計は真っ当。財務品質などでふるいにかけたうえで、親指数の1.3倍以上の利回りの銘柄を採用
- 信託報酬0.165%は割高ではない。ただしSlimオルカン0.05775%の2.86倍で、30年で約48万円の差
- 中身も違う。アメリカ63.1%→48.9%。「オルカン」の名前でも同じものではありません
- 分配金は自分の資産から出ている。運用会社自身が元本の払戻しに相当する場合があると明記
- 当サイトの結論はふつうのオルカン。いちばん安く、いちばん広いで十分です🐾
あわせて読みたい
- オルカン(全世界株式)とは?なぜ「最強の株価指数」なのか徹底解説まずはこちら
- インデックス vs 高配当株はどっちが向いてる?高配当そのものの是非
- 楽天プラス vs eMAXIS Slim|“隠れコスト込みの実質コスト”で比較コストの正しい比べ方
- 毎月分配型はおすすめしない理由|タコ足配当と複利が効かない仕組み分配金の正体
- 新NISAの成長投資枠は何を買う?結論オルカン・S&P500でOK成長投資枠の使い方
※本記事は2026年8月時点の一般的な情報提供であり、特定の投資信託・金融商品の購入、売却、乗り換えを推奨、勧誘、助言するものではありません。当サイトは金融商品取引業の登録を受けておらず、投資助言・代理業を行っていません。『eMAXIS 高配当全世界株式(オール・カントリー)配当払出型/資産成長型〈愛称:オルカン高配当〉』に関する記述は、三菱UFJアセットマネジメント株式会社が2026年8月26日に公表したプレスリリースおよび同資料に記載された内容に基づいています。同社は当該ファンドの有価証券届出書を2026年8月26日に関東財務局長に提出していますが、同リリースには届出の効力が生じておらず、効力が発生するまでに記載内容が訂正される場合がある旨が明記されています。したがって、設定日、信託報酬、分配方針、販売会社その他の内容は変更される可能性があります。購入を検討される際は、必ず最新の交付目論見書および販売会社の説明をご確認ください。信託報酬は年率0.165%(税抜年率0.15%)以内とされ、純資産総額に応じて5,000億円未満の部分0.1650%、5,000億円以上1兆円未満の部分0.1628%、1兆円以上の部分0.1606%となります。このほか監査費用、有価証券の売買時に取引した証券会社等に支払われる手数料、海外で保管する場合に海外の保管機関に支払われる費用、マザーファンドの換金に伴う信託財産留保額などをファンドが負担しますが、これらは運用状況等により変動するため、あらかじめ合計額を示すことはできません。したがって投資者が実際に負担する費用の総額は、本記事に記載した信託報酬の数値を上回ります。比較対象とした eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の信託報酬年率0.05775%(税込)等の数値は、販売会社が公表する当該ファンドの情報によるものです。国・地域別の比率について、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の数値は同ファンドの2026年7月の月次レポートに記載された組入上位10ヵ国・地域の比率であり、実際に運用されているファンドの組入比率です。一方、新ファンドの数値は連動対象であるMSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス高配当利回り指数の国・地域別構成比率(三菱UFJアセットマネジメントがMSCI Inc.のデータを基に作成した2026年5月末現在の値)であり、指数の構成比率です。両者は性質および基準日が異なるため、厳密な同一条件の比較ではありません。新ファンドは設定前であり、運用実績は存在しません。積立の試算は、毎月3万円を積み立て、信託報酬控除前の年率リターンを5%と仮定して月複利で計算したモデルケースであり、信託報酬以外の費用、税金、分配金の影響は考慮していません。年率5%は計算上の仮定であって、将来のリターンを示すものでも保証するものでもありません。投資信託は預貯金とは異なり、基準価額の下落により損失を被り、投資元本を割り込むことがあります。組入資産は為替ヘッジを原則として行わないため為替変動の影響を受けます。分配金に関する記述は同ファンドの資料の記載に基づくもので、分配金額や将来の分配金の支払いおよびその金額が保証されるものではありません。指数に関する著作権およびその他の知的財産権はすべてMSCI Inc.に帰属します。投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任において行ってください。

