相続税“対策”はほとんどの人に不要|大半は基礎控除でかからない。本当に大切な「相続対策」を独立系FPが解説【2026年7月版】

税金・副業・相続
★ 相続税がかかるのは約10人に1人だけ。ほとんどの人に「相続税対策」の商品は不要です。本当に大切なのは、もめないための「相続対策」
相続税には手厚い控除があり、一般的な資産ならほぼかかりません(課税されるのは全体の約1割)。だから不動産や保険の“相続税対策”商品は、多くの人に不要。大事なのは税金ではなく、「誰がどう分けるか」を決める“相続対策”です🐾

「相続税対策、しないと大変なことになりますよ」——不動産会社や保険の営業で、こう言われた経験はありませんか?
でも独立系FPとして、まずはっきりお伝えします。ほとんどの人には、相続“税”対策は必要ありません。なぜなら、相続税は控除がとても手厚く、一般的な家庭ではそもそもかからないことが多いからです。実際、相続税がかかるのは亡くなった方の約1割だけ
にもかかわらず、「相続税対策」という言葉でアパート経営や一時払い保険などの商品を売られるケースが後を絶ちません。
そして本当に大切なことは、たいてい見落とされています。それが「相続対策」=家族がもめないための準備です。相続税はかからなくても、“分け方”で親族が争う「争族」は誰にでも起こりえます。今日はこの違いを、2026年7月時点の最新ルールで正確に解説します🐾

先に結論

  • 相続税がかかるのは全体の約1割だけ(令和5年分の課税割合は9.9%)。基礎控除=3,000万円+600万円×法定相続人の数。多くの家庭はこの範囲に収まり、そもそも非課税です
  • 控除・特例がとにかく手厚い配偶者は1億6,000万円(または法定相続分)まで非課税生命保険金・死亡退職金は各500万円×法定相続人の数まで非課税、自宅の土地は小規模宅地等の特例で最大80%評価減
  • だから「相続税対策」名目の商品は、多くの人に不要。アパート・タワマン購入、一時払い保険などは、そもそも税金がかからない人には無意味で、むしろ値下がり・空室・流動性のリスクを抱えるだけです
  • 資産が基礎控除を超える人だけ、正攻法の“制度活用”を。生命保険の非課税枠・小規模宅地・計画的な生前贈与など。ただし「商品ありき」ではなく、あくまで制度として使うのが鉄則です
  • 本当に大切なのは「相続対策(=争族対策)」誰がどう分けるか・遺言・納税や生活の資金・認知症への備え税金ゼロの家庭でも“分け方”でもめます。ここを計画的に準備しましょう

① まず知ってほしい:相続税がかかる人は「約1割」だけ

「相続=相続税」というイメージが強いですが、実際に相続税を納めるのはごく一部です。国税庁の統計では、令和5年分(2023年)に相続税の課税対象になったのは、亡くなった方全体の9.9%約10人に1人です。

理由は、「基礎控除」という大きな非課税枠があるから。正味の遺産額がこの基礎控除以下なら、相続税はかからず、申告も原則不要です。

相続税の基礎控除額(法定相続人の数別)
3,600万相続人1人4,200万相続人2人4,800万相続人3人5,400万相続人4人

※基礎控除=3,000万円+600万円×法定相続人の数。この金額までの遺産(正味の課税価格)には相続税がかかりません。たとえば「配偶者+子ども2人」なら相続人3人で4,800万円まで非課税。自宅と預貯金だけなら、これを超えない家庭が多いのです。2026年7月時点。

計算式は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」。たとえば——

  • 配偶者+子ども2人(相続人3人)… 3,000万+600万×3=4,800万円まで非課税
  • 子ども2人のみ(相続人2人)… 3,000万+600万×2=4,200万円まで非課税

自宅(後述の特例でさらに評価が下がります)と預貯金くらいの資産なら、この枠に収まって相続税ゼロという家庭が多いのです🐾

② 控除・特例がこんなに手厚い(だから多くの人はかからない)

基礎控除に加えて、相続税にはさらに強力な控除・特例があります。主なものはこちら。

制度内容(2026年7月時点)
配偶者の税額軽減配偶者が受け取る遺産は、1億6,000万円、または法定相続分のどちらか多い金額まで相続税ゼロ(※適用には申告が必要)
生命保険金の非課税枠500万円×法定相続人の数まで非課税。相続人3人なら1,500万円分の保険金が非課税に
死亡退職金の非課税枠生命保険とは別枠で500万円×法定相続人の数まで非課税
小規模宅地等の特例亡くなった方の自宅の土地は、一定の要件を満たせば330㎡まで評価額を80%減(特定居住用宅地等の場合)。土地の相続税評価を大きく下げられます

これらを重ねると、「一次相続(夫婦の一方が亡くなる)では配偶者軽減でほぼゼロ」「自宅は小規模宅地で8割減」となり、多くの家庭で相続税は発生しません。控除が手厚いからこそ、慌てて“対策商品”を買う必要がないのです🐾

③ だから「相続税対策」の商品は、多くの人に不要(むしろ危険)

ここが本題のひとつ。「相続税対策」をうたって売られる商品の多くは、そもそも相続税がかからない人には無意味で、それどころか新たなリスクを背負い込むことになります。

「相続税が安くなる」は、たいてい“売るための言葉”です。相続税がかからない家庭が、節税を口実にアパートやタワマンを買えば、空室・家賃下落・修繕・売りにくさ(流動性の低さ)といったリスクを抱えるだけ。一時払いの保険も、非課税枠を超える部分や、そもそも課税されない人には旨みがありません。「税金が減る」より「その商品自体で損しないか」を先に考えるべきです。

  • 相続税対策アパート・タワマン節税…借入で評価を下げる手法は、空室・値下がり・相続後の管理負担が重い。近年はタワマンの評価ルールも見直され、以前ほどの効果は期待しにくくなっています
  • 一時払い終身保険での「節税」非課税枠(500万×法定相続人)の範囲で使うなら合理的ですが、そもそも相続税がかからない人には不要。枠を超える加入は意味が薄れます
  • 不要な生前贈与…相続税がかからない人が慌てて贈与しても、贈与税のほうが高くつくことも。制度を理解せずに動くのは禁物です

くわしくは相続税対策アパートはやめとけ?節税目的の投資商品はやめとけ?もあわせてどうぞ🐾

④ 本当に大切なのは「相続対策」=もめないための準備

ではお金持ちでない人は何もしなくていいのか——いいえ、むしろ全員にやってほしいことがあります。それが「相続対策(争族対策)」です。相続税がゼロの家庭でも、“分け方”をめぐって親族が争うことは珍しくありません。

実際、家庭裁判所で扱われる遺産分割のもめごとは、相続財産が多くない家庭でも数多く起きています。「うちは仲がいいから大丈夫」が、いちばん危ないのです。相続対策の柱は次の4つ。

相続対策の柱備えること
① 分割対策誰に何を、どう分けるか。自宅など“分けにくい財産”が中心だともめやすい。あらかじめ方針を家族で共有
② 遺言の準備遺言書で意思を残す。とくに公正証書遺言は無効になりにくく安心。自筆の場合は法務局の保管制度も活用できます
③ 納税・当面の資金相続税がかかる場合の納税資金や、凍結される預金の代わりの生活費。生命保険は「すぐ受取人に渡る現金」として役立ちます
④ 認知症への備え親が認知症になると預金の引き出しや不動産売却が凍結任意後見・家族信託などを元気なうちに検討

ポイントは、税金対策より先に「もめない・困らない仕組み」をつくること。ここを飛ばして節税商品に走るのは、順番が逆なのです🐾

⑤ 今日からできる「計画的な相続対策」5ステップ

相続対策は、元気なうち・関係が良いうちに始めるのが鉄則。難しく考えず、この順番で進めましょう。

ステップやること
STEP1 財産の棚卸し預貯金・不動産・保険・有価証券・借金まで一覧(財産目録)にする。まず「何がどれだけあるか」を把握
STEP2 相続税がかかるか確認正味の遺産額が基礎控除(3,000万+600万×人数)を超えるかをざっくり試算。超えなければ“税対策”は基本不要
STEP3 分け方を家族で話す元気なうちに意向を共有。とくに自宅・事業など分けにくい財産は早めに方針を決める
STEP4 遺言書を残すもめる可能性があるなら公正証書遺言を。自筆なら法務局の保管制度も検討
STEP5 認知症・判断力の備え任意後見・家族信託などを検討。必要に応じて司法書士・税理士・弁護士など専門家に相談

お金をかけて商品を買うより、この5ステップのほうがずっと価値があります。しかも、ほとんどがお金をかけずにできることです🐾

⑥ 資産が基礎控除を超えそうな人へ(正攻法の制度活用)

「うちは基礎控除を超えそう」という方は、“商品ありき”ではなく“制度”として、次を検討する価値があります。いずれも正攻法で、税務署も認めた枠組みです。

  • 生命保険の非課税枠を使う500万円×法定相続人の数まで非課税。枠の範囲内なら、現金で残すより有利で、受取人にすぐ渡せる利点も
  • 小規模宅地等の特例を活かす…自宅の土地評価を最大80%減。同居や生計要件があるため、誰が自宅を継ぐかを早めに整理
  • 計画的な生前贈与…暦年課税の年110万円の非課税枠などを活用。ただし2024年以降の贈与は、相続開始前の一定期間ぶんが相続財産に持ち戻される(加算期間が3年から段階的に7年へ延長・2031年に完全移行)点に注意。相続時精算課税にも2024年から年110万円の基礎控除が新設されています

いずれも制度が複雑で、改正も続いています。基礎控除を超える資産がある場合は、自己判断で商品を買う前に、必ず相続に強い税理士に相談してください。「対策商品を売りたい人」ではなく「中立の専門家」に、が鉄則です🐾

FPねこ

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よくある質問(猫がお答えします)

質問
うちは相続税かかるのかな?持ち家と預金くらいなんだけど…
多くの場合、かからない可能性が高いにゃ。まず基礎控除=3,000万円+600万円×法定相続人の数を計算するにゃ。配偶者と子ども2人なら相続人3人で4,800万円まで非課税にゃ。
さらに自宅の土地は小規模宅地等の特例で最大80%も評価が下がるし、配偶者が受け取る分は1億6,000万円まで非課税にゃ。だから持ち家+預金くらいなら、超えない家庭が多いにゃ。
実際、相続税がかかるのは亡くなった方の約1割(9.9%)だけにゃ。まずは財産の棚卸しでざっくり試算してみるといいにゃ🐾
FPねこ
質問
「相続税対策にアパートを建てませんか」って言われたんだけど、やるべき?
相続税がかからない人なら、まずやめておくにゃ。そもそも税金がかからないのに“節税”のために借金してアパートを建てたら、空室・家賃下落・修繕・売りにくさのリスクを丸ごと背負うだけにゃ。
「相続税が減る」は売るための言葉のことが多いにゃ。減る税金より、その不動産自体で損しないかを先に考えるにゃ。
タワマン節税も評価ルールが見直されて、以前ほど効かなくなってるにゃ。くわしくは相続税対策アパートはやめとけ?を読んでにゃ🐾
FPねこ
質問
相続税がかからないなら、うちは何も準備しなくていいの?
いや、むしろ準備してほしいにゃ!税金はかからなくても、「誰がどう分けるか」でもめる“争族”は、財産が少ない家庭ほど起きやすいにゃ。分けにくい自宅が主な財産だと、とくにもめやすいにゃ。
だから大事なのは相続“対策”にゃ。①財産の棚卸し②分け方を家族で話す③必要なら遺言書(公正証書が安心)④認知症への備え(任意後見・家族信託)——にゃ。
ほとんどお金をかけずにできるし、元気で仲がいいうちにやるのがいちばん効くにゃ🐾
FPねこ
質問
生前贈与で毎年110万ずつ渡せば節税になるって本当?
使い方次第だけど、注意が必要になったにゃ。暦年贈与の年110万円までは贈与税がかからないのは本当にゃ。でも2024年以降の贈与は、相続開始前の一定期間ぶんが相続財産に持ち戻されるようになったにゃ。加算期間は3年から段階的に7年へ延長されて、完全移行は2031年にゃ。
だから「亡くなる直前にまとめて贈与」は効きにくいにゃ。それにそもそも相続税がかからない人には、贈与そのものが不要なことも多いにゃ。
制度は複雑で改正も続くから、基礎控除を超えそうな人は相続に強い税理士に相談してにゃ🐾
FPねこ

まとめ

  • 相続税がかかるのは約1割だけ(令和5年分9.9%)。基礎控除=3,000万円+600万円×法定相続人の数で、多くの家庭は非課税です
  • 控除・特例が手厚い。配偶者は1億6,000万円(または法定相続分)まで、生命保険・死亡退職金は各500万円×法定相続人まで非課税、自宅は小規模宅地で最大80%減
  • だから「相続税対策」商品は多くの人に不要。アパート・タワマン・一時払い保険は、税金がかからない人には無意味で、むしろリスクになります
  • 基礎控除を超える人だけ、正攻法の制度活用を(生命保険の非課税枠・小規模宅地・計画的な生前贈与)。商品ありきではなく、中立の税理士に相談を
  • 本当に大切なのは「相続対策」=もめない準備。財産の棚卸し→分け方の共有→遺言→認知症対策。税金ゼロでも争族は起こるので、元気なうちに計画的に🐾

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※本記事は2026年7月時点の一般的な情報提供であり、特定の商品の購入・不購入や個別の税務判断を助言・勧誘するものではありません。相続税・贈与税の制度は次のとおりです(2026年7月時点):基礎控除=3,000万円+600万円×法定相続人の数/配偶者の税額軽減=1億6,000万円または法定相続分のいずれか多い金額まで(適用には相続税の申告が必要)/生命保険金・死亡退職金の非課税枠=それぞれ500万円×法定相続人の数/小規模宅地等の特例=特定居住用宅地等は330㎡まで評価額80%減(同居・生計要件等あり)。相続税の課税割合は国税庁「令和5年分 相続税の申告事績」に基づく9.9%です。生前贈与加算の期間は、2024年1月1日以降の贈与について3年から段階的に7年へ延長され、2031年1月1日以降の相続で完全移行します(相続開始年により加算年数が異なります)。相続時精算課税には2024年分から年110万円の基礎控除が新設されました。これらの数値・要件は制度改正により変わる可能性があり、実際の適用可否・税額は個々の財産構成・相続人の状況により異なります。相続税の要否判定、遺言・生前贈与・不動産・保険の活用、認知症対策(任意後見・家族信託)など具体的な判断は、必ず相続に強い税理士・司法書士・弁護士等の専門家にご相談のうえ、ご自身の責任で行ってください。当サイトは節税を主目的とした不動産・保険商品を初心者に推奨していません。

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