アパートやマンションを借りるとき、契約書に「普通借家契約」か「定期借家契約」かが書かれているのをご存じですか。実はこの違い、あとで“住み続けられるか”“家賃を上げられるか”を大きく左右する、とても重要なポイントです。
先に結論を言うと、借りる側が長く安定して住みたいなら、圧倒的に「普通借家契約」が有利です。理由は、借地借家法という法律が、借主を手厚く守ってくれるから。とくに「大家の都合で簡単に追い出されない」「家賃の一方的な値上げを断れる」——この2つは、暮らしの安心に直結します。
今日は、2つの契約の違いを、借地借家法にもとづいて正確に比較します。契約前にこれだけは知っておきましょう🐾
先に結論
- ◎長く住むなら「普通借家契約」がトータル有利。借地借家法で借主が手厚く保護され、大家の都合で簡単には追い出せない契約だからです
- ◎更新:普通借家は「正当事由」がないと更新拒否できない。期間が満了しても、借主が望めば原則そのまま更新(法定更新)。定期借家は更新がなく、期間満了で終了します
- ◎家賃:普通借家は一方的な値上げに従う義務なし。協議がまとまらなければ「相当と認める額(=従来の家賃)」を払い続けながら争えます。しかも“下げない”特約は無効で、借主からの減額請求はいつでも可能です
- △定期借家にもメリットはあります。家賃が相場より安めに設定されることがある、短期・一時的な入居に向く、など。頭ごなしに悪いわけではありません
- ✕危険なのは「定期借家と気づかず契約」すること。「更新できると思っていたのに退去を求められた」を防ぐため、契約時に必ず「これは定期借家契約ですか?」と確認しましょう
① そもそも2種類の借家契約とは?
賃貸住宅の契約は、大きく次の2つに分かれます。まずは全体像を表で押さえましょう。
| 比較項目 | 普通借家契約(借主に有利) | 定期借家契約 |
|---|---|---|
| 更新 | 原則あり(正当事由がなければ大家は拒否できない) | なし(期間満了で終了。再契約は大家しだい) |
| 住み続けやすさ | ◎ 事実上ずっと住める | △ 期間満了で出ていくのが原則 |
| 家賃の値上げ | 一方的にはできない(借主は拒否・協議・相当額で争える) | 特約で固定も可(増額も減額も封じられる場合あり) |
| 契約方法 | 口頭でも可(通常は書面) | 書面+事前の説明が必須(怠ると定期借家として無効) |
| 家賃水準 | 相場どおり | 相場より安めのことがある |
ひと言でいえば、普通借家は「借主が守られる契約」、定期借家は「期限つきの契約」。借りる側の安心感は、普通借家が圧倒的です🐾
② 更新の違い|普通借家は“正当事由”がないと追い出せない
いちばん大きな違いが「更新」です。
- 普通借家…契約期間(多くは2年)が満了しても、大家は「正当事由」がなければ更新を拒否できません。期間が1年以上の契約では、大家が満了の1年前〜6か月前までに「更新しない」と正当事由つきで通知しない限り、これまでと同じ条件で自動的に更新(法定更新)されます。つまり借主が住み続けたい限り、事実上ずっと住めます
- 定期借家…更新という概念がなく、期間満了でスパッと契約終了。住み続けたい場合は「再契約」が必要ですが、応じるかどうかは大家の自由。断られれば退去するしかありません
「正当事由」は、そう簡単には認められません。大家が更新を断るには、建物の老朽化の程度、大家自身がその家を使う必要性、借主が住み続ける必要性、立退料の提供などを総合的に見て「正当」と判断される必要があります。単に「もっと高く貸したい」「親戚に貸したい」程度では、まず認められません。だからこそ普通借家の借主は強いのです。(立ち退きを求められた場合は立ち退き料の相場もご覧ください)
③ 家賃の違い|普通借家なら「一方的な値上げ」は断れる
ご質問でいちばん気になるのがここでしょう。「普通借家なら家賃の値上げを断れる」——これは、おおむね本当です。根拠は借地借家法32条(借賃増減請求権)にあります。
💡 家賃を値上げされそうになったら
大家が「家賃を上げたい」と言っても、借主が同意しなければ、すぐに上がるわけではありません。話し合い(協議)がまとまらない場合、借主は「自分が相当と認める額(=これまでの家賃)」を払い続けていれば、滞納にはなりません。増額が正当かどうかは、最終的に調停・裁判で判断されます。
※ただし、裁判で増額が認められた場合は、不足分に年1割の利息をつけて支払う必要があります。「絶対に上がらない」ではなく、「一方的には上げられず、争える」という理解が正確です。
さらに借主に有利なのが特約のルールです。
- 「家賃を上げない」特約 → 有効(借主に有利なのでOK)
- 「家賃を下げない」特約 → 無効。つまり借主からの“家賃の減額請求”は、特約があってもいつでもできます(周辺相場が下がったとき等)
このように、普通借家の家賃ルールは徹底的に借主を守る“片面的な”仕組み。一方、定期借家では「増減請求権を排除する特約」が有効で、家賃を契約で固定できます(その代わり、借主からの減額請求も封じられることがあります)🐾
④ 契約期間と中途解約の違い
「途中で引っ越したくなったら?」という視点でも比べておきましょう。
| 普通借家 | 定期借家 | |
|---|---|---|
| 契約期間 | 1年以上(1年未満は「期間の定めなし」扱い) | 自由(1年未満もOK。数か月〜も可能) |
| 借主からの中途解約 | 解約条項に従えば可(通常1か月前予告など)で比較的柔軟 | 原則不可。ただし床面積200㎡未満の居住用は、転勤・療養・親族の介護などやむを得ない事情があれば中途解約できる場合があります |
この点でも、普通借家のほうが借主は動きやすいのが一般的です。定期借家で長期の契約を結ぶと、途中で出たくても違約金が発生することもあるので注意しましょう🐾
⑤ 結局どっち?借主目線の結論と、契約時のチェック
ここまでを踏まえた結論です。
| こんな人 | おすすめ |
|---|---|
| 長く安定して住みたい(大半の人) | 普通借家一択。更新・値上げ・立ち退きで守られる |
| 数か月〜数年の短期でいい/家賃を少しでも抑えたい | 定期借家もアリ。相場より安いことがあり、期間が明確な人には合う |
そしていちばん大事なのは、契約前の確認です。定期借家は書面での契約と、事前に「更新がなく期間満了で終了する」旨の書面交付・説明が法律で義務づけられています(これを怠った契約は、定期借家として無効=普通借家扱いになることも)。次の3つは必ずチェックしましょう。
- 「これは普通借家ですか、定期借家ですか?」と口頭でも確認する
- 契約書に「定期建物賃貸借」「更新がなく期間満了で終了」の記載がないかを読む
- 定期借家なら「再契約の可否・条件」「中途解約の可否」「家賃の特約」を必ず確認する
「知らずに定期借家を結んでいて、更新できると思っていたら退去を求められた」——これが最悪のパターン。契約は、ハンコを押す前がすべてです🐾
よくある質問(猫がお答えします)

話し合いがまとまらないときは、「相当と認める額(これまでの家賃)」を払い続けていれば滞納にならないにゃ。増額が妥当かは最終的に調停や裁判で決まるにゃ。
ただし裁判で増額が認められたら、不足分に年1割の利息をつけて払うことになるにゃ。だから「絶対に上がらない」じゃなくて「一方的には上げられず、ちゃんと争える」が正解にゃ。まずは大家と冷静に協議するのがいいにゃ🐾


定期借家は、契約とは別に「更新がない」ことを説明する書面を事前に渡す義務があるにゃ。逆に、この書面交付や説明がなかった場合、定期借家として無効=普通借家扱いになることもあるにゃ。
いちばん確実なのは、契約前に「これは普通借家ですか、定期借家ですか?」と不動産屋にはっきり聞くことにゃ。あいまいなまま契約しないことにゃ🐾


あと短期間だけ住みたい人には、期間がはっきりしていて合うこともあるにゃ。
ただし長く住みたい人には不向きにゃ。更新がないから、大家が再契約に応じてくれないと出ていくことになるにゃ。「安さ」と「住み続けられない不安定さ」を天秤にかけるのがコツにゃ🐾


「もっと高く貸したい」「なんとなく」程度じゃ、まず認められないにゃ。だから借主が住み続けたい限り、事実上ずっと住めるのが普通借家の強みにゃ。
もし立ち退きを求められたら、立退料を受け取れることも多いにゃ。あわててサインせず、条件を確認するのが大事にゃ🐾

まとめ
- 借りる側が長く住むなら「普通借家契約」がトータル有利。借地借家法で借主が手厚く守られています
- 更新:普通借家は正当事由がないと更新拒否できない(事実上ずっと住める)。定期借家は更新なしで期間満了で終了
- 家賃:普通借家は一方的な値上げに従う義務なし。相当と認める額を払い続けて争える。“下げない”特約は無効で減額請求はいつでも可能
- 定期借家にも利点(家賃が安めのことがある・短期向き)。ただし長く住むには不安定なので、目的しだい
- 契約前に「普通借家か定期借家か」を必ず確認。定期借家は書面・事前説明が必須で、怠れば無効になることも。ハンコを押す前がすべてです🐾
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※本記事は2026年7月時点の一般的な情報提供・考え方の解説であり、個別の法律判断を助言するものではありません。記載内容は借地借家法にもとづく一般的な説明です。普通借家契約では、期間を1年以上とした場合、貸主が期間満了の1年前から6か月前までに正当事由をもって更新拒絶の通知をしないときは、従前と同一条件で契約が更新されたものとみなされます(法定更新)。正当事由は、建物使用の必要性・建物の状況・立退料の提供等を総合的に考慮して判断されます。家賃の増減については借地借家法32条により、増額請求について協議が調わないときは、借主は増額を正当とする裁判が確定するまで相当と認める額の家賃を支払えば足り、確定後に不足がある場合は年1割の利息を付して支払う必要があります。借主に不利な「不減額特約」は無効ですが、定期借家契約では借賃増減請求権を排除する特約が有効です。定期借家契約は書面(電磁的記録を含む)により締結し、あらかじめ更新がなく期間満了で終了する旨を記載した書面の交付・説明が必要で、これを欠くと定期借家としての効力が認められない場合があります。床面積200㎡未満の居住用建物の定期借家では、転勤・療養・親族の介護等やむを得ない事情がある場合に借主から中途解約できることがあります。これらの取り扱いや金額・要件は個別の契約内容・事情により異なり、法改正により変わる可能性があります。実際のトラブル・契約判断は、弁護士・司法書士・自治体の相談窓口や国土交通省のガイドライン等をご確認のうえ、ご自身の責任で行ってください。

