「年金、なんとなく払ってるけど仕組みはよく分からない」——多くの人がそうです。でも年金は、老後だけでなく“障害”や“死亡”にも備える国の保険で、人生の土台になる大事な制度。この記事では、年金の1から10までを、専門用語をかみくだいて図解的に・やさしく解説します。難しい計算は出てきません。安心して読み進めてください🐾
先に結論:年金の全体像
- ◎日本の公的年金は“2階建て”。1階=国民年金(基礎年金)は20〜60歳の全員が加入、2階=厚生年金は会社員・公務員が上乗せ。さらに任意で3階=iDeCoや企業年金を積める
- ◎立場で3種類に分かれる。自営業・学生・無職は第1号、会社員・公務員は第2号、第2号に扶養される配偶者は第3号。区分で「払い方」と「もらえる年金」が変わる
- ◎年金は「老後」だけじゃない。けがや病気で障害が残ったときの障害年金、亡くなったとき家族に出る遺族年金もある“保険”。だから払う価値がある
① そもそも「公的年金」って何?
公的年金は、ひとことで言うと「国が運営する“保険”」です。貯金とは違って、こんな特徴があります🐾
- ① 死ぬまで一生もらえる(終身)…老後にもらう年金は、何歳まで生きても一生支給。これは民間の貯蓄では作りにくい、公的年金最大の強みです
- ② 老後“以外”にも備える…障害が残ったときの障害年金、亡くなったときの遺族年金もセット。「長生き・障害・死亡」という人生の3大リスクに備える保険です
- ③ 「賦課(ふか)方式」で運営…今の現役世代が払う保険料が、今の高齢者の年金に使われる“仕送り”の仕組み。自分の保険料が積み立てられて返ってくる貯金箱ではありません
- ④ 物価・賃金に合わせて調整される…年金額は物価や賃金の変動に応じて毎年見直し。インフレにある程度ついていけるのも、現金貯金にはない特徴です
② 年金は「2階建て(人によっては3階建て)」
年金の全体像は、建物の階層でイメージすると一気に分かりやすくなります。下の図のように、下の階ほど“全員に共通の土台”、上の階ほど“一部の人だけ・任意”になっていきます🐾
▼ それぞれの階をもう少しくわしく見ると、こうなります。
| 階 | 名前 | だれが入る? | 中身 |
|---|---|---|---|
| 3階 (任意) | iDeCo・企業年金 国民年金基金・付加年金 など | 希望する人 | 自分で上乗せする“私的年金”。節税しながら老後資金を増やせる |
| 2階 | 厚生年金 | 会社員・公務員 | 給与に応じて上乗せ。払った額(給料)が多いほど多くもらえる |
| 1階 (土台) | 国民年金 (基礎年金) | 20〜60歳の全員 | すべての人に共通する土台。満額は全員ほぼ同じ |
つまり、自営業・フリーランスの人は1階だけ、会社員・公務員は1階+2階。さらに余裕があれば3階(iDeCoなど)を自分で乗せる——これが日本の年金の基本形です。「会社員のほうが将来の年金が多い」のは、2階(厚生年金)があるからなんです🐾
③ 1階=国民年金(基礎年金):全員共通の土台
国民年金は、日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入する、年金の土台です。学生も自営業も会社員も、立場に関係なく全員が「基礎年金」を持っています。
- 加入期間は最長40年(20〜60歳)…この40年(480か月)まるまる保険料を納めると“満額”になります
- 満額は月額 約70,608円(令和8年度/40年納付の場合)。納めなかった月があると、その分だけ減ります
- もらえるのは原則65歳から。これが「老齢基礎年金」です
※満額(月70,608円・令和8年度)は毎年改定されます。実際の受給額は、納付した月数に応じて「満額×納付月数÷480」で計算されるイメージです。
④ あなたはどれ? 被保険者の「3つの区分」
国民年金の入り方は、働き方によって3種類に分かれます。ここが分かると「自分は何号で、どう払っているか」がスッキリします🐾
| 区分 | だれ? | 保険料の払い方 | 年金は何階? |
|---|---|---|---|
| 第1号 被保険者 | 自営業・フリーランス・ 学生・無職 など | 自分で納める (月17,920円・令和8年度) | 1階のみ (基礎年金) |
| 第2号 被保険者 | 会社員・公務員 | 給与天引き (会社と折半/厚生年金保険料に基礎年金分も含む) | 1階+2階 (基礎+厚生) |
| 第3号 被保険者 | 第2号に扶養される 配偶者(年収の壁の範囲内) | 自己負担なし (配偶者側の制度全体で負担) | 1階のみ (基礎年金) |
- 第1号…自分で保険料を納めます。納め忘れると将来の年金が減るので、口座振替やクレカ払いにしておくと安心。経済的に厳しいときは免除・猶予の申請を(未納のまま放置は避けたい)
- 第2号…会社員・公務員は厚生年金保険料を給与から天引き。この中に基礎年金の分も含まれているので、別途“国民年金”を払う必要はありません
- 第3号…会社員などに扶養されている配偶者は自分では保険料を払わずに基礎年金がもらえます。ただし「年収の壁」を超えて働くと第3号から外れる点は要注意です
⑤ 2階=厚生年金:会社員・公務員の上乗せ
厚生年金は、会社員・公務員が基礎年金に上乗せしてもらえる2階部分です。最大の特徴は「報酬比例」——つまり給料が高く・長く働いた人ほど、将来の年金が多くなること。
- 保険料は給料の18.3%を会社と折半…本人負担は約9.15%。残り半分は会社が払ってくれます(自営業にはないメリット)
- 給与天引きで自動的に納付…手続き不要。基礎年金(1階)の分もこの中に含まれています
- 最長70歳まで加入できる…長く働けば、その分2階が育ちます
- 家族の保障も手厚い…障害厚生年金・遺族厚生年金など、2階建てだと“もしも”の保障も上乗せされます
「会社員は年金が手厚い」と言われるのは、①2階(厚生年金)がある ②保険料を会社が半分払う ③扶養配偶者が第3号になれる——この3点が大きいからです🐾
⑥ 保険料は「いくら」払ってる?
| 立場 | 保険料(令和8年度) | 負担のしかた |
|---|---|---|
| 第1号(自営業など) | 月 17,920円(定額) | 全額自己負担 |
| 第2号(会社員・公務員) | 給料の18.3% | 会社と折半(本人 約9.15%) |
| 第3号(扶養配偶者) | 0円 | 自己負担なし |
第1号の定額保険料は毎年改定され、令和8年度は月17,920円です。「高い」と感じるかもしれませんが、これは老後の年金だけでなく、障害・遺族の保障もついた“掛け金”。民間で同じ保障を買おうとすると、はるかに高くつきます。
※第1号の定額保険料は年度ごとに改定されます(令和8年度は月17,920円)。厚生年金保険料率18.3%は2017年9月以降、固定されています。
⑦ 年金は「老後」だけじゃない:3つの給付
「年金=老後にもらうお金」と思われがちですが、公的年金には3つの給付があります。ここを知ると「年金は払う価値がある保険だ」と腑に落ちます🐾
| 給付 | どんなとき? | ざっくり中身 |
|---|---|---|
| 老齢年金 | 歳をとったとき | 原則65歳から、一生受け取る(いちばん有名) |
| 障害年金 | 病気・けがで 障害が残ったとき | 現役世代でも対象。働けなくなったときの所得保障 |
| 遺族年金 | 亡くなったとき | 残された家族(配偶者・子など)に支給 |
とくに障害年金・遺族年金は、若い人にも関係する大事な保障。「保険料を払う=これらの保障も同時に持っている」ということです。なお、これらも2階建ての人(会社員・公務員)は“厚生”の上乗せ分がつき、より手厚くなります。
⑧ もらうにはどうする?(受給資格と受け取り開始)
- 受給資格は「10年」…保険料を納めた期間(免除期間も含む)が合計10年(120か月)以上あれば、老齢年金を受け取れます。昔は25年でしたが、今は10年に短縮されています
- 原則65歳から…老齢基礎年金・老齢厚生年金とも、受け取り開始は原則65歳です
- 受け取り年齢は前後にずらせる…60〜64歳に早める「繰り上げ」(減額)、66〜75歳に遅らせる「繰下げ」(増額)を選べます。どちらが得かは 年金は繰下げ・繰り上げどっちが得?でくわしく解説しています
- 請求しないともらえない…年金は自分で請求して初めて支給されます(自動では振り込まれません)。受給開始が近づいたら手続きを忘れずに
⑨ 結局いくらもらえるの?(金額の目安)
気になる金額の目安です。あくまでモデルケースなので、正確な自分の見込み額は後述の方法で確認してくださいね🐾
| ケース | 月額の目安(令和8年度) |
|---|---|
| 国民年金 満額(40年納付・1人) | 約 70,608円 |
| 会社員夫婦の標準モデル (夫の厚生年金+夫婦2人分の基礎年金) | 約 237,279円 |
- 自営業(1階だけ)はやや手薄…満額でも月約7万円。だからこそiDeCo・付加年金・国民年金基金・NISAなどで“自分で2階・3階を作る”ことが大事になります
- 会社員は2階があるぶん手厚い…ただし「モデル」はあくまで標準例。給料・加入期間で人それぞれです
- 自分の見込み額は「ねんきん定期便」「ねんきんネット」で確認…毎年誕生月に届く「ねんきん定期便」や、Webの「ねんきんネット」で、これまでの納付記録と将来の見込み額が確認できます。まずはここを見るのが第一歩です
⑩ よくある誤解:「年金は払い損?」「破綻する?」
- 「将来もらえないから払い損」?…公的年金は賦課方式+税金(基礎年金の約半分は国庫負担)+積立金で支えられており、「ゼロになる」設計ではありません。金額の調整(マクロ経済スライド)はあっても、“終身でもらえる・障害や遺族にも使える”という機能は、民間ではまず作れない価値です
- 「自分の払った分が返ってくる貯金」?…いいえ、年金は“保険”であって貯金ではありません。長生きした人・障害を負った人・遺族が手厚く受け取る、リスクに備える助け合いの仕組みです
- 「未納でも将来少しはもらえる」?…受給資格の10年に届かないと、老齢年金はもらえません。また未納期間は障害年金・遺族年金が受けられなくなるリスクも。払えないときは“未納”ではなく“免除・猶予”の申請を必ずしてください
年金は「払い損のギャンブル」ではなく、長生き・障害・死亡に備える“国の保険”。そのうえで、公的年金“だけ”では不安な部分を、NISAやiDeCoで自分で補う——これが今の時代の王道です🐾
まとめ
- 日本の公的年金は2階建て。1階=国民年金(基礎年金・20〜60歳の全員)、2階=厚生年金(会社員・公務員の上乗せ)、任意で3階=iDeCoなど
- 立場で第1号(自営業など)・第2号(会社員・公務員)・第3号(扶養配偶者)に分かれ、保険料の払い方ともらえる年金が変わる
- 保険料は令和8年度で第1号が月17,920円、第2号は給料の18.3%を会社と折半、第3号は負担なし
- 年金は老齢・障害・遺族の3つの給付がある“保険”。受給資格は10年、受け取りは原則65歳(繰上げ・繰下げで前後にずらせる)
- 金額の目安は国民年金満額で月約7.06万円、会社員夫婦モデルで月約23.7万円(令和8年度)。自分の見込み額はねんきん定期便・ねんきんネットで確認を
- 公的年金“だけ”に頼らず、NISA・iDeCoで自助の土台を作るのが、今の時代の安心戦略🐾
よくある質問(猫がお答えします)






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※本記事は令和8年(2026年)6月時点の一般的な情報提供であり、特定の手続き・商品を推奨・助言するものではありません。記載の金額は令和8年度(2026年度)の数値です(国民年金保険料 月17,920円、老齢基礎年金満額 月70,608円〔昭和31年4月2日以後生まれ〕、夫婦2人の標準モデル年金 月237,279円、厚生年金保険料率18.3%=労使折半、受給資格期間10年、原則65歳支給)。これらの金額・料率は毎年度改定され、被保険者区分・加入期間・収入・生年月日などにより取り扱いが異なります。最新かつ正確な情報、ご自身の年金見込み額は、日本年金機構(ねんきんネット・ねんきん定期便)や厚生労働省の公表資料、年金事務所でご確認ください。

