国民年金の追納はしたほうがいい?メリット・元が取れる年数を独立系FPが解説

iDeCo・年金
★ 払える人ほど見てほしい「追納」の話

学生時代に「学生納付特例」を使ったり、収入が少ない時期に「免除・納付猶予」を受けたりして、国民年金保険料を払わなかった期間はありませんか? じつはその期間、あとから保険料を納める「追納(ついのう)」ができます。そして結論から言うと——払う余裕があるなら、追納はしたほうがトータルで得。終身で年金が増え、おまけに節税にもなるからです。ただし、生活が苦しいなら無理は禁物。今日は「追納したほうがいい人・しなくていい人」を、数字でやさしく解説します🐾

先に結論

  • 払う余裕があるなら追納したほうがトータル得。年金が終身で増え、追納額は全額が社会保険料控除=節税、約10年(節税込みならさらに早く)で元が取れる
  • ただし最優先ではない生活防衛資金・高金利の借金返済・新NISAの土台づくりのほうが先。順番を間違えないこと
  • 生活が苦しいなら無理に追納しなくてOK。ただし追納できる期限は10年。余裕ができたら期限内に検討を

そもそも「追納」とは?免除・猶予・学生納付特例のおさらい

国民年金には、保険料を払うのが難しい人のための制度があります。代表的なのが次の3つです。

  • 学生納付特例…学生で収入が少ない期間、保険料の納付を先送りできる制度
  • 納付猶予…50歳未満で所得が一定以下のとき、納付を猶予してもらえる制度
  • 免除(全額・一部)…所得が少ない人が、保険料の全部または一部を免除される制度

これらを使った期間は「未納」とは違い、年金を受け取る資格期間(10年)にはカウントされます。ただし大事なのは——

学生納付特例・納付猶予の期間は、将来の年金額には“反映されません”(ゼロ扱い)。免除期間は一部だけ反映されます(全額免除でも国庫負担分の2分の1は年金額に反映)。つまり追納しないと、その分だけ将来の年金が少なくなるんです。だからこそ「追納」で穴を埋める意味があります。

追納とは、この払わなかった期間の保険料を、あとから納めること。追納すれば、その期間は「保険料を満額払った期間」として扱われ、将来の老齢基礎年金が増えます🐾

追納のメリット|「払えるならやったほうがいい」3つの理由

① 年金が“終身で”増える=長生きするほど得

老齢基礎年金は、満額で年およそ83万円(2025年度・40年=480か月すべて納めた場合)。これを基準にすると、1年分(12か月)追納するごとに、将来の年金が「満額の40分の1」=年およそ2万円ずつ、一生涯にわたって増えます

追納の“コスパ”をざっくり計算
1年分の追納額 … およそ21万円(2025年度・月17,510円×12か月の目安)
↓ 追納すると
将来の年金が … 年およそ2万円ずつ、終身でアップ
↓ つまり
約10年受け取れば“元が取れる”計算(65歳開始なら75歳前後で回収、以降はずっとプラス)

日本人の平均余命を考えれば、多くの人が「払った以上」を受け取れるということ。しかも公的年金は、物価や賃金にある程度連動し、会社の倒産リスクもない“国が運営する終身保険”のようなもの。長生きするほど得をする、心強い土台です🐾

② 追納した保険料は“全額”が社会保険料控除=節税になる

ここが見落とされがちな大きなメリット。追納した金額は、その年の社会保険料控除として全額が所得から差し引けます。つまり所得税と住民税が安くなる

節税効果のイメージ
1年分(約21万円)を追納 → 税率が合計20%(所得税10%+住民税10%)の人なら
約4.2万円の節税 → 実質の負担は約16〜17万円に

実質負担が下がるぶん、元が取れるのは約8年に短縮

所得が高い人(税率が高い人)ほど、この節税メリットは大きくなります。「払う余裕がある人ほど追納が得」と言われるのは、この控除効果が効いてくるからでもあります。

③ ローリスクで“確実”に増える

新NISAなどの投資は期待リターンこそ高いものの、値動きがあります。一方、追納は「いくら払えば、年金がいくら増えるか」がほぼ確定している、極めて確実性の高い選択肢。値動きにドキドキせず、淡々と将来の受取額を底上げできます。投資の“攻め”に対して、追納は“守り”を固める一手です🐾

追納のデメリット・注意点

いいことばかりではありません。順番とタイミングを間違えないために、デメリットも正直に。

  • まとまったお金が必要…1年分で約21万円、数年分なら数十万円。手元のお金が一気に減るので、生活防衛資金を崩してまでやるのはNG
  • 追納できる期限は10年…免除・猶予・学生納付特例を受けた月から10年以内しか追納できません。期限を過ぎると二度と追納できないので、余裕があるなら早めに
  • 3年度目以降は“加算額”が上乗せ…承認された年度から3年度目以降に追納すると、当時の保険料額に少し加算がつきます。早く納めるほどお得
  • お金の流動性は下がる…年金として受け取れるのは原則65歳から。今すぐ使えるお金ではなくなる点は理解しておく
質問
追納と新NISA、お金に余裕があるならどっちを先にやるべき?
どちらも“将来のための良い置き場所”だから、悩むよね。考え方としては、①生活防衛資金(生活費の半年〜1年分)→ ②高金利の借金返済 → ③新NISAでコツコツ積立、ここまでが土台だにゃ。追納はそのうえで「まだ余裕があるならやる」位置づけ。ただし追納には「10年」という期限があるのがポイント。NISAはいつでもできるけど、追納は期限を過ぎると二度とできない。だから期限が近い追納分から先に、というのは十分アリな判断だにゃ🐾
FPねこ
質問
追納するお金を、新NISAでハイリターンを狙って増やしたほうが効率いいんじゃないの?
その発想も鋭いにゃ。でも大事なのは「リターンの“確実さ”がぜんぜん違う」こと。新NISA(投資)のリターンは“不確実”──長期では増える可能性が高いけど、値動きがあって元本割れする年もあるし、いつ・いくらになるかは誰にも約束できないにゃ。いっぽう追納は「払えば年金がいくら増えるか」がほぼ確定している“確実なリターン”。しかも一生もらえる終身の上乗せで、長生きするほど得になるにゃ。だから二択で考えるんじゃなくて、役割を分けるのがコツ。「老後の“絶対に崩れない土台”は確実な追納で固める → そのうえの“攻め”を新NISAでやる”イメージだにゃ。土台がしっかりしているほど、攻めの投資も安心して続けられる。だから追納は、老後の土台をつくるのに最適な“確実な投資”なんだにゃ🐾
FPねこ

逆に「追納しなくていい人」は?

追納は得な制度ですが、誰もが今すぐやるべきものではありません。次のような人は、無理に追納しなくてOKです。

  • 毎月の生活で精一杯で、まとまったお金を出す余裕がない人…まずは生活と、いざという時の生活防衛資金が最優先
  • 高金利の借金(カードローン・リボなど)がある人…年15%前後の利息は、追納の利回りより重い。返済が先
  • そもそも年金の受給資格期間(10年)を満たすか不安な人…まずは現役期間の保険料を払い続けることが先決

免除を受けた期間も、全額免除なら国庫負担分の半分は年金に反映されています。だから「追納しない=ゼロ」ではない。生活が苦しいなら、無理せず今の暮らしを守ることを優先してくださいね🐾

追納の手続き|どこで・どうやる?

難しくありません。基本はこの流れです。

  • 1. 年金事務所に「追納の申し込み」…年金手帳や基礎年金番号がわかるものを用意して、お近くの年金事務所へ(郵送・窓口)
  • 2. 「国民年金保険料追納申込書」を提出…どの期間を追納するか申請する
  • 3. 送られてくる納付書で支払う…金融機関やコンビニ等で納付。古い期間から順に納めるのが原則

まずは「自分にいくら追納できる期間があるか」を年金事務所やねんきんネットで確認するところから。学生時代に特例を使った人は、対象になっているケースが多いです🐾

まとめ

  • 免除・猶予・学生納付特例の期間は、追納しないと将来の年金が少なくなる(学生特例・猶予は年金額ゼロ反映)
  • 払う余裕があるなら追納したほうがトータル得。終身で年金が増え、全額が社会保険料控除で節税、約10年(節税込みなら約8年)で元が取れる
  • ただし最優先ではない生活防衛資金 → 高金利借金の返済 → 新NISAの土台が先
  • 生活が苦しいなら無理に追納しなくてOK。ただし追納の期限は10年。余裕ができたら期限内に
  • 所得が高い人ほど節税メリットが大きく、追納の“お得度”が増す

よくある質問(猫がお答えします)

質問
追納はいつまでにすればいい?期限はある?
あるにゃ。免除・猶予・学生納付特例を受けた月から「10年以内」しか追納できないんだにゃ。たとえば学生時代の特例分なら、社会人になって収入が安定したころが追納のチャンス。10年を過ぎると二度と追納できなくなるから、余裕ができたら早めに年金事務所で確認するのがおすすめだにゃ。しかも承認年度の3年度目以降は少し加算額が乗るから、早く納めるほどお得だにゃ🐾
FPねこ
質問
追納すると、どのくらい年金が増えるの?
1年分(12か月)追納するごとに、将来の老齢基礎年金が年およそ2万円ずつ、終身で増える計算だにゃ(満額の40分の1)。1年分の追納額が約21万円だから、約10年受け取れば元が取れる。さらに追納額は全額が社会保険料控除になって所得税・住民税が安くなるから、節税込みなら回収はもっと早い(約8年)。長生きするほど得になる、心強い終身の上乗せだにゃ🐾
FPねこ
質問
お金に余裕がないけど、追納しないと損?
無理しなくて大丈夫だにゃ。生活が苦しいのに追納で家計を削るのは本末転倒。まずは生活と生活防衛資金、借金がある人は返済が先だにゃ。それに全額免除を受けた期間でも、国庫負担分の半分は年金に反映されているから「追納しない=まるごとゼロ」じゃないにゃ。ただし追納の期限は10年。今は無理でも、収入が増えて余裕ができたら、期限内に検討してみてにゃ🐾
FPねこ

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※本記事は2026年6月時点の一般的な情報提供であり、特定の手続き・商品を保証・推奨するものではありません。国民年金保険料(2025年度 月17,510円)、老齢基礎年金の満額(2025年度 約83万円/40年・480か月納付)、増額・回収年数・節税額はいずれも一定の前提に基づく概算で、年度の改定や個人の所得・加入状況によって変わります。社会保険料控除による軽減額は税率により異なります。追納できる期間・期限・加算額の詳細、ご自身の追納可能額は、日本年金機構(年金事務所・ねんきんネット)の最新情報で必ずご確認ください。出典:日本年金機構ほか公開情報。

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