レバレッジ型投資信託はおすすめしない理由|2026年版

資産運用・制度比較

「指数が上がるなら、その数倍の値動きを狙える商品を買えば最強では?」——そう考えて手を出しがちなのがレバレッジ型の投資信託・ETFです。株価指数が上がると儲かる“ブル型”と、下がると儲かる“ベア型”が代表例で、値動きを約2〜4倍に増幅する商品。上がるときは確かに大きいですが、長期で積み立てて資産形成する道具としては不向きで、初心者がいちばんやけどしやすい地雷のひとつです。この記事では「なぜ地雷なのか」と「正しい増やし方」「今持っている人はどうするか」をやさしく解説します。

⚠️ レバレッジ型商品の問題点・ひと目チェック
  • 横ばいでも価値が減る:日々の値動きにレバをかけ続けるため、相場が行ったり来たりするだけで「減価(逓減)」が起きる
  • 暴落に致命的に弱い:数倍で下がると、元に戻すのに何倍もの上昇が必要。最悪は回復不能
  • コストが高い信託報酬が年0.4〜1%超と、低コストインデックスの数倍〜10倍
  • 長期・積立に向かない:そもそも新NISAのつみたて投資枠の対象外。制度上も長期向きと認められていない

先に結論

  • レバレッジ型は短期トレード用の道具。「長期で持てば指数の何倍にも増える」は減価のせいで成立しない
  • 増やすなら新NISAでオルカン(全世界株)やS&P500の“レバなし”低コストインデックスを淡々と積み立てるのが王道
  • もっとリスクを取りたいなら、レバではなく「入金額を増やす」「株式の比率を上げる」で調整する

レバレッジ型投資商品とは?(ブル・ベア型/上場投信)

レバレッジ型とは、対象となる指数(日経平均・NASDAQ100・S&P500など)の1日の値動きを、約2〜4倍に増幅するようにつくられた投資信託・ETFです。代表例が次のような商品です。

タイプ中身(どんな商品か)代表的な商品
ブル型(◯倍ブル)
※投資信託
指数が上がると約2〜4倍上がる(上昇に賭ける)楽天日本株4.3倍ブル/レバレッジNASDAQ100/iFreeレバレッジFANG+
ベア型(◯倍ベア)
※投資信託
指数が下がると上がる(下落に賭ける・逆連動)楽天日本株3.8倍ベア
レバレッジETF
(上場投信)
ブル・ベアを上場させ、株のように売買できるようにしたものNEXT FUNDS 日経平均レバレッジ上場投信(コード1570)/楽天ETF-日経ダブルインバース指数連動型(コード1459)

ポイントは「1日の値動きを◯倍にする」という設計です。毎日リセットしてレバレッジをかけ直すため、数日・数週間と持つうちに、単純な「指数の◯倍」とはズレていきます。このズレこそが、最大の落とし穴です。

なぜ「お金の地雷」なのか|3つの落とし穴

① 横ばいでもジリジリ減る「減価(逓減)」

レバレッジ型最大の弱点が減価(ボラティリティ・ディケイ)です。毎日「その日の値動き×2倍」を繰り返すため、相場が上下に振れるだけで、元の指数が同じ値に戻っても商品の価値は下がっていくという性質があります。

かんたんな例で見てみましょう。指数が100→90(−10%)→99(+10%)と動いて、ほぼ元に戻ったとします(分かりやすく“2倍”で計算します。倍率が高いほど減り方はさらに大きくなります)。

普通の指数(レバなし)2倍レバレッジ
1日目 −10%100→90100→80(−20%)
2日目 +10%90→9980→96(+20%)
結果99(ほぼ戻る)96(4%も目減り)

指数はほぼ元通りなのに、2倍商品は4%も減っています。こうした上下動が毎日・何年も積み重なると、横ばい〜緩やかな相場でも資産がジワジワ削られていきます。「長期で持てば増える」どころか、持っているだけで損が積み上がることすらあるのです。

② 暴落に致命的に弱い|戻すのに倍以上の上昇が必要

そもそも投資では、下落の傷はプラスより深いという鉄則があります。50%下がったら、元に戻すには100%(2倍)の上昇が必要です。これがレバレッジでさらに増幅されます。

指数の下落2倍レバの下落元に戻すのに必要な上昇
−20%−40%約+67%
−33%−66%約+194%
−50%−100%に接近ほぼ回復不能

3倍商品なら、指数が33%下がるだけで価値がほぼゼロに近づきます。リーマンショックやコロナショック級の暴落が来たとき、レバレッジ型は取り返しのつかないダメージを受けかねません。しかも値動きが激しいぶん、ほとんどの人は恐怖に耐えられず底値で投げ売り(狼狽売り)してしまいます。

③ コストが高く、長期保有の前提がそもそも違う

レバレッジ型は信託報酬が年0.4〜1%超と、低コストインデックス(年0.1%前後)の数倍〜10倍かかります。さらに先物などでレバレッジを実現するための見えないコストも乗ります。減価+高コストが長期になるほどボディブローのように効いてきます。

そして決定的なのが、NISAの「つみたて投資枠」の対象商品からレバレッジ型は除外されていること。これは国が「長期の資産形成には向かない」と判断している何よりの証拠です。レバレッジ型は、本来は相場を読める人が“数日〜数週間の短期トレード”で使う道具。コツコツ積み立てる初心者の長期投資とは、設計思想がまるで違うのです。

質問する女の子
質問でもレバレッジ型って、長い目で見れば指数の2倍に増えるってことですよね?それなら持ち続けたほうが得じゃないですか?
FPねこ
FPねこそこが一番の勘違いポイントにゃ。レバは「1日の値動き」を2倍にする仕組みで、毎日かけ直すから、相場が上下するだけで“減価”してジリジリ減るのにゃ。指数が元の値に戻っても、レバナスのようなレバ商品はマイナスになってることも珍しくないにゃ。「長期で持てば2倍」にはならない——むしろ長期ほど不利になりやすいにゃ。

実は大人気|買付ランキング堂々の3位でも、人気=安全ではない

「そんなに不利なら、誰も買っていないのでは?」と思うかもしれません。ところが実態は逆で、レバレッジ型は個人投資家にとても人気です。楽天証券の投資信託「買付金額ランキング」(2026年6月8〜12日)を見ると、上位はこうなっていました。

順位ファンド名タイプ
1位eMAXIS Slim 全世界株式(オルカン)王道インデックス
2位eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)王道インデックス
3位楽天日本株4.3倍ブルレバレッジ型
4位楽天・プラス・オールカントリー株式王道インデックス
5位楽天・プラス・S&P500王道インデックス

注目はその顔ぶれ。1位・2位・4位・5位…と上位のほとんどをオルカンやS&P500などの低コストインデックス(=王道)が占めるなか、レバレッジ型の「楽天日本株4.3倍ブル」がただ一つ、堂々の3位に食い込んでいるのです。さらに時期によっては、上がると儲かるブル(4.3倍)だけでなく、下がると儲かるベア(3.8倍)も同時にトップ10入りすることがあります(2025年8月時点ではブル8位・ベア9位)。これは多くの人が「次に日本株がどっちに動くか」を当てにいく短期の“方向当てゲーム”=投機に資金を投じている、という何よりの証拠です。

でも忘れないでください。「人気がある=安全・正解」ではありません。むしろ売れ筋上位という事実は、それだけ多くの人が減価・暴落リスクの高い商品に手を出しているとも言えます。SNSや知人の「これで儲かった」という声に流されないこと。長期の資産形成は、値動きの方向を当てるゲームではありません。王道のオルカンやS&P500を淡々と積み立て、世界経済の成長にじっくり乗る——それが、ランキングの上下に一喜一憂せずに資産を育てる正解です。

正しい増やし方|レバなしインデックスを新NISAで

「もっと増やしたい」「成長を取りに行きたい」という気持ちは、レバレッジ型ではなく正攻法で叶えるのが正解です。

やりたいこと✕ やってはいけない◎ 正しい方法
大きく増やしたい✕ レバレッジ商品(4.3倍ブル等)を買う入金額(積立額)を増やす
リスクを取りたい✕ 数倍に増幅するレバ商品を使う株式100%(オルカン/S&P500)にする
ハイテクの成長に乗りたい✕ レバレッジNASDAQ100等を買うS&P500やオルカンにレバなしで含まれる

オルカン(全世界株)やS&P500の低コストインデックスファンドを、新NISAでレバをかけずに積み立てる。これだけで世界経済やアメリカ企業の成長をまるごと取り込めます。減価もなく、暴落しても回復を待てて、コストは年0.1%前後。レバレッジという“増幅装置”を外すだけで、長期のリターンはむしろ安定して伸びやすくなるのです。リスクを上げたいなら、株式100%のインデックス(オルカン/S&P500)にするか、毎月の入金力そのものを高めるのが王道です。

質問する女の子
質問コア・サテライトって聞きました。メインはオルカンにして、ちょっとだけレバナスを“サテライト”で持つのはアリ?
FPねこ
FPねこ“なくなっても困らない少額(資産の数%まで)”で、長期の本体(コア)と完全に切り離して遊ぶぶんには、ダメとは言わないにゃ。でもそれはあくまで娯楽で、資産形成の役には立たないと割り切るのが大事にゃ。増やす目的なら、サテライトもオルカンやS&P500で十分。わざわざ減価する商品を混ぜる必要はないにゃ🐾

すでにレバレッジ型を持っている人はどうする?

まず考えるべきは、「自分はこれを“短期トレード”として、損切りルールを決めて売買できているか?」です。答えが「いいえ。長期で持てば増えると思って積み立てている」なら、使い方を完全に間違えています。早めに方針転換しましょう。

  • 長期保有目的で持っているレバレッジ型はやめる(売却する)。減価とコストで持つほど不利になりやすい
  • ② 売ったお金を新NISAでオルカンやS&P500の低コストインデックスに移す
  • ③ どうしても“遊び”で持ちたいなら、なくなっても困らない少額(資産の数%まで)に絞り、長期の資産形成(コア)とは完全に切り離す

「もう含み損だから、戻るまで待ちたい」と思うかもしれません。でも前述のとおり、レバレッジ型は横ばいでも減価で削られ、戻るのに倍以上の上昇が必要。待っている時間こそ、オルカンやS&P500なら着実に育てられた時間です。過去の損(取り返せないお金)に縛られず、これからのお金をどこに置くかで判断しましょう。

結局どうすればいい?

  • レバレッジ型(ブル・ベア)を長期積立に使わない。減価・暴落耐性のなさ・高コストで、増やす道具として不利
  • 増やすなら新NISAでオルカン/S&P500の“レバなし”インデックスを淡々と積み立てる
  • リスクを取りたいなら株式比率を上げる・入金額を増やす。増幅装置(レバ)に頼らない
  • 持っているなら長期目的のレバは手放し、インデックスへ。遊ぶなら“なくなってもいい少額”だけ

「2倍儲かる」の裏側は「2倍速で溶ける」。
長期の資産形成は、レバなしインデックスが王道です🐾

🐾 「この商品、持ち続けて大丈夫?」と迷ったら

FPねこは独立系の現役FP。特定の金融商品を売り込むことはありません。今持っている投資信託やETFを続けるか・乗り換えるか、あなたの状況に合わせて無料で相談できます。

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