源泉徴収票や給与明細をよく見ると、「復興特別所得税」という項目があります。これは、東日本大震災(2011年)からの復興財源をまかなうための税金です。
「これって、いつまで払うの?」——よく聞かれる質問ですが、答えは意外と複雑。復興特別税は所得税・住民税・法人税で扱いが分かれ、それぞれ“いつまで”が違うからです。しかも近年、防衛費の財源をめぐる税制改正で、所得税分の仕組みが大きく見直されました。
この記事では、2026年7月時点の最新ルールにもとづいて、「何に・どれだけ・いつまで」かかるのかを、負担額の目安つきで正確に整理します。数字はできるだけ正確に、でもやさしく解説します🐾
先に結論(2026年7月時点)
- ◎復興特別税は3種類(所得税・住民税・法人税)。いま個人が払っているのは主に復興特別所得税で、所得税額の2.1%を上乗せする形です
- ◎復興特別所得税は当初2037年まで→2047年まで延長の見込み。防衛財源の改正で、2027年(令和9年)から税率を1.1%に下げ、代わりに防衛特別所得税1%を上乗せ(合計2.1%は変わらず)、課税期間が10年延びます
- ◎住民税分(均等割+年1,000円)は2023年度で終了。ただし2024年度から森林環境税(年1,000円)に切り替わり、名目を変えて実質的に続いています
- ◎法人向けの復興特別法人税は2014年に前倒しで終了済み。なお、これとは別に防衛特別法人税が2026年4月から始まっています(法人向けの新しい付加税)
- △負担額自体は大きくありません。所得税が年5万円の人で復興特別所得税は年約1,050円ほど。過度に気にするより、NISAなどでコツコツ資産形成するほうが家計インパクトは大きいです
① そもそも「震災復興特別税」とは?
震災復興特別税(復興特別税)は、2011年の東日本大震災からの復興に必要な財源を確保するために、「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法」にもとづいて導入された臨時の税金です。次の3つがあります。
| 種類 | 対象 | ざっくり内容 |
|---|---|---|
| 復興特別所得税 | 個人(所得税を払う人) | 所得税額に2.1%を上乗せ |
| 復興特別住民税 | 個人(住民税を払う人) | 住民税の均等割に年1,000円上乗せ |
| 復興特別法人税 | 法人(会社) | 法人税額に上乗せ(すでに終了) |
このうち、いま私たち個人にいちばん関係するのが「復興特別所得税」です。まずはここから見ていきましょう🐾
② 復興特別所得税:2.1%上乗せ・2047年まで延長の見込み
復興特別所得税は、2013年1月1日から始まりました。金額は「基準所得税額 × 2.1%」。給与所得者なら、毎月の源泉徴収や年末調整で、所得税と一緒に自動的に天引きされています。
💡 負担額の目安
その年の所得税が5万円の人 → 復興特別所得税は 5万円 × 2.1% = 約1,050円。
所得税が20万円の人 → 約4,200円。
——所得税の額に比例するので、収入が多い人ほど負担額も大きくなりますが、率としては小さめです。
💡 投資でおなじみ「20.315%」にも含まれています
株や投資信託の利益(売却益・配当)にかかる税率20.315%も、実はこの復興特別所得税を含んでいます。内訳は所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%。この0.315%は「所得税率15%×2.1%」で計算したもの。つまり「所得税額×2.1%」という同じルールを、投資の税率15%に当てはめた姿です。NISA(非課税)を使えば、この20.315%自体がまるごとかかりません。
当初、この税は2037年12月31日までの25年間の予定でした。ところが、防衛費の増額財源をめぐる税制改正で、仕組みが見直されることになりました。ポイントは次の3つです。
- 2027年(令和9年)から、復興特別所得税の税率を2.1%→1.1%に引き下げ
- 同時に、新たな「防衛特別所得税」(所得税額の1%)を上乗せ。つまり合計の負担率は2.1%のまま変わりません
- 復興財源の総額を確保するため、復興特別所得税の課税期間を10年延長し、2047年(令和29年)12月31日まで続く見込みです
※2027年(令和9年)分から、復興特別所得税は2.1%→1.1%に引き下げられ、代わりに防衛特別所得税1%が上乗せされます。合計の負担率2.1%は変わりません。さらに復興財源を確保するため、復興特別所得税の課税期間は10年延長され2047年まで続く見込みです。2026年7月時点の情報で、施行時期・内容は今後の法令改正により変わる可能性があります。
要するに、私たちの負担率(所得税額の2.1%)はしばらく変わらないけれど、その中身が「復興1.1%+防衛1.0%」に組み替わり、期間も後ろに延びる——というのが、いまの流れです🐾
③ 復興特別住民税:2023年度で終了→森林環境税に“衣替え”
住民税にも、復興特別税が上乗せされていました。住民税の「均等割」に年1,000円(道府県民税500円+市町村民税500円)を加算するもので、2014年度(平成26年度)から2023年度(令和5年度)までの10年間で予定どおり終了しました。
でも、住民税の負担が1,000円軽くなったわけではありません。2024年度(令和6年度)から、入れ替わるように「森林環境税」(国税・年1,000円)が始まりました。徴収は住民税と一緒に行われるため、納税者から見ると「1,000円の上乗せ」は名前を変えて続いていることになります。この“衣替え”には「実質的な増税では」という批判の声もあります。
| 〜2023年度 | 2024年度〜 | |
|---|---|---|
| 名目 | 復興特別税(住民税均等割の上乗せ) | 森林環境税(国税) |
| 金額 | 年1,000円 | 年1,000円 |
| 徴収方法 | 住民税と一緒に | 住民税と一緒に |
| 使い道 | 震災復興 | 森林整備・林業支援など |
つまり、住民税に乗っていた「復興のための1,000円」は、2024年度から「森林のための1,000円」に変わった、というわけです🐾
④ 復興特別法人税:2014年に終了(別の付加税は登場)
会社にかかる復興特別法人税は、2012年4月〜2014年3月の2年間で終わりました。当初は3年間の予定でしたが、景気への配慮から1年前倒しで廃止されています。いま復興特別“法人”税を払っている会社はありません。
ただし、これとは別に、防衛費の財源として「防衛特別法人税」が2026年(令和8年)4月から始まっています。法人税額に4%を付加するもの(年500万円の基礎控除あり)で、復興とは別枠の新しい税です。個人には直接かかりませんが、「震災の復興特別法人税が続いている」という誤解は避けたいところです🐾
⑤ 結局、いつまで・いくら払う?(早見まとめ)
ここまでを一枚にまとめます(2026年7月時点)。
| 税目 | 負担 | いつまで/現況 |
|---|---|---|
| 復興特別所得税 | 所得税額の2.1% | 継続中。2027年から内訳が「復興1.1%+防衛1.0%」に。課税期間は2047年まで延長の見込み |
| 復興特別住民税 | 年1,000円 | 2023年度で終了。2024年度から森林環境税(年1,000円)に切替 |
| 復興特別法人税 | 法人税額に上乗せ | 2014年に終了済み(別途、防衛特別法人税が2026年4月〜) |
個人にとってのポイントは、「所得税の2.1%上乗せは当面続く(2047年ごろまで)」「住民税の1,000円は森林環境税として続く」の2点です🐾
⑥ 気にしすぎない。家計で効くのは“別のところ”
制度としては覚えておく価値がありますが、家計へのインパクトという意味では、復興特別所得税は決して大きくありません。所得税が年5万円の人で年約1,050円。毎日の節約や、NISAでの資産形成のほうが、けた違いに家計を左右します。
「税金が上乗せされている」と知ると損した気分になりますが、コントロールできないことに時間を使うより、自分で動かせるところ(支出の最適化・非課税制度の活用)に力を注ぐのが、FP的な考え方です。制度は正しく知り、そのうえで淡々とコツコツ——これがいちばん効きます🐾
よくある質問(猫がお答えします)

しかも2027年(令和9年)から中身が変わるにゃ。復興特別所得税の税率が2.1%→1.1%に下がって、代わりに防衛特別所得税1%が乗るにゃ。だから合計2.1%の負担は変わらないけど、名前と期間が変わるイメージにゃ。
※2026年7月時点の情報で、施行時期や内容は今後の法令で変わる可能性があるにゃ🐾


徴収は住民税と一緒だから、納税者から見ると1,000円の上乗せは名前を変えて続いてるにゃ。使い道が「復興」から「森林整備」に変わっただけ、という見方もできるにゃ。「実質的な増税では」って批判もあるにゃ🐾


ただし紛らわしいのが、2026年(令和8年)4月から「防衛特別法人税」が新しく始まってることにゃ。これは法人税額に4%を付加するもの(年500万円の基礎控除あり)で、復興とは別の税にゃ。名前が似てるから混同しないようににゃ🐾


確定申告をする人(個人事業主など)も、申告書で所得税額に2.1%を掛けて合算する欄があって、会計ソフトや国税庁の作成コーナーを使えば自動で計算してくれるにゃ。
金額は所得税額×2.1%だから、所得税が5万円なら約1,050円にゃ。難しく考えず、正しく申告すればOKにゃ。心配なら税務署や税理士に聞くと確実にゃ🐾

まとめ
- 震災復興特別税は3種類(所得税・住民税・法人税)。「いつまで」の答えは税目ごとに違います
- 復興特別所得税=所得税額の2.1%。当初2037年まで→2047年まで延長の見込み。2027年から「復興1.1%+防衛1.0%」に内訳が変わる(合計2.1%は据え置き)
- 復興特別住民税(年1,000円)は2023年度で終了。ただし2024年度から森林環境税(年1,000円)として実質継続
- 復興特別法人税は2014年に終了済み。別途、防衛特別法人税が2026年4月から始まっています
- 負担額自体は小さめ(所得税5万円で年約1,050円)。制度は正しく知りつつ、家計はNISAなど動かせるところに力を注ぐのが得策です🐾
あわせて読みたい
- 年収の壁を2026年版でわかりやすく解説|103万・106万・130万・160万の壁手取りに直結する税と社会保険の話
- 住民税非課税世帯とは?条件・年収の目安をFPが解説住民税まわりの基礎知識
- 節税目的の投資商品はやめとけ?「税金が減る」の罠“節税”に振り回されない考え方
- 新NISA完全ガイド|始め方・おすすめ商品まで初心者向けに解説非課税制度で家計を強くする
- 消費税は廃止すべき?私の答えはNO|“平等な税金”と再分配のリアル税金との向き合い方をもう一歩深く
※本記事は2026年7月時点の一般的な情報提供であり、個別の税務判断を助言するものではありません。復興特別所得税は「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法」にもとづき、2013年分から基準所得税額の2.1%が課税されています。防衛費の財源確保に関する税制改正により、2027年(令和9年)分から復興特別所得税の税率を1%引き下げ(2.1%→1.1%)、あわせて防衛特別所得税(所得税額の1%)を新たに課すとともに、復興特別所得税の課税期間を10年延長し2047年(令和29年)12月31日までとする方針です。これらは本記事作成時点の予定であり、施行時期・具体的内容は今後の法令改正により変更される可能性があります。個人住民税均等割に上乗せされていた復興特別税(年1,000円)は2014年度〜2023年度で終了し、2024年度(令和6年度)から森林環境税(国税・年額1,000円)が課税されています。復興特別法人税は2012年4月〜2014年3月で終了しました。防衛特別法人税は2026年(令和8年)4月1日以後開始事業年度から、法人税額に4%を付加(年500万円の基礎控除あり)する形で創設されています。負担額(例:所得税5万円で復興特別所得税約1,050円)は概算です。実際の税額・申告方法・適用時期は個々の状況や最新の法令により異なるため、詳細は国税庁・お住まいの自治体・税理士等にご確認ください。

