高配当株投資が好きな独立系FPの私が、自分で分析した日本の高配当株を紹介するシリーズ。第7回の主役はエーアイテイー(証券コード:9381)。日本と中国・アジアを結ぶ国際物流(フォワーダー)の会社で、海上輸送を主力に、通関や物流の一括請負(3PL)まで手がけています。今回の銘柄の魅力は、予想配当利回りが約5.0%と“一段高い”こと。そして今回とくに伝えたいのは、「利回りは高いけれど、決して“高すぎる”わけではない」という点です。ROEは約16%と稼ぐ力が高く、自己資本比率は約74%と財務も非常に健全で、一度も減配していない——つまり中身のしっかりした“質の高い高配当株”なんです。ただし国際物流は海上運賃・貿易量・為替に左右されやすいため、業績には波があります。だからこの記事では、エーアイテイーを「メインではなく、ポートフォリオの利回りを底上げする“スパイス(薬味)”のように、少量・長期で持つ銘柄」として、良い点も注意点もグラフ中心で正直に解説します🐾
先に結論
- ◎利回りが顕著に高い(約5.0%)のに“中身がしっかり”。東証プライム平均(約2.3%)の2倍以上の利回りで、ポートフォリオ全体の平均利回りを“底上げ”してくれます。しかもROEは約16%と稼ぐ力が高く、自己資本比率は約74%と財務は非常に健全。一度も減配していない増配基調で、利回りは高いが“高すぎる罠銘柄”ではない——ここが今回いちばん伝えたい点です
- ◎「稼ぐ力の改善」も進んでいる。営業利益率はかつての5%台から足元は7〜8%台まで改善し、無借金に近い健全な財務のうえで効率よく利益を生めているのが強み。日中間の生活密着型の貨物(日用品・アパレルなど)を数多く扱うため、物流の“土管”としての底堅さもあります(2026年7月時点の概数)
- △そのぶん業績に“波がある”=メインにはしない。国際物流は海上運賃・貿易量・為替に左右される景気敏感セクターで、コロナ期の特需→反動のように売上が大きく動いた実績があります。加えて配当性向は70%台とやや高めで、今後の増配は本業の伸び次第。だからこそ「少なめに・長期保有で」が鉄則。土台は全世界株/S&P500の積立にしつつ、エーアイテイーは利回りを底上げする“スパイス”として少量だけ——これが私のスタンスです
① そもそも、エーアイテイーってどんな会社?
エーアイテイーは、東証プライム市場に上場する国際物流の会社(フォワーダー)です(証券コード9381・2月決算)。とくに日本と中国・アジアを結ぶ海上輸送を主力としています。「フォワーダー」とは、自分では船や飛行機を持たず、荷主(メーカーや小売など)と輸送手段の“あいだ”に立って、国際輸送をまるごと手配する会社のこと。複数の荷物をまとめて運ぶ“混載”のノウハウで、コストを抑えつつ効率よく荷物を運びます。ビジネスの柱はこの3つ+αです。
- 海上輸送(主力)…中国・アジア→日本の海上コンテナ輸送・混載(LCL)が中核。日用品やアパレルなど、私たちの暮らしに身近な貨物を数多く扱っています
- 航空輸送…急ぎの貨物や軽量・高付加価値の荷物を、飛行機で運ぶサービスです
- 通関業務…輸出入に必要な税関手続きを代行。物流の“関所”をスムーズに通すための欠かせない機能です
- 3PL(物流一括請負)…倉庫での保管・仕分け・配送まで、企業の物流をまるごと引き受けるサービス。安定した“ストック型”の収益源です
つまりエーアイテイーは「国際輸送を手配し、荷物を国境を越えて届ける」ことで手数料・付加価値を得るビジネス。日中間の貿易が動くたびに出番がある会社です。裏を返せば、世界の景気・貿易量・海上運賃・為替の動向に業績が左右されやすい——この性質を理解しておくことが、エーアイテイーを持つうえでいちばん大切です🐾
② 【最大の特徴】利回りが“一段高い”──でも“高すぎ”ではない
エーアイテイー最大の魅力は、予想配当利回り約5.0%という高さ。そして今回とくに強調したいのが、「その利回りが“高すぎる(危険な水準)”ではない」という点です。まずは配当そのものの推移を見てみましょう。
▲ エーアイテイーは2018年2月期の35円→いまは100円超へ、大きく増配を続けてきました。注目は一度も減配していない(増配基調)こと。ただし2020・2024・2025年2月期のように横ばいの年もあるので、毎年必ず増える“連続増配”とまでは言い切れません。それでも長い目で見れば右肩上がりで、株主還元に前向きな会社です。2026年2月期までは配当実績、2027年は会社予想(110円・グレー/2026年7月時点)。
ポイントを整理します。
- ① 長期でしっかり増配してきた…2018年2月期の35円から、いまは100円超まで。着実に配当を積み上げ、株主還元に前向きな姿勢がはっきり出ています
- ② 一度も減配していない…エーアイテイーは減配せずに増配基調を続けてきた会社です。ただし2020・2024・2025年2月期のように横ばいの年もあるので、毎年必ず増える“連続増配”とまでは言えません。それでも「減らさずに、長い目で増やしてきた」のは高配当株として好ましい性格です
- ③ “罠銘柄”ではない…利回り5%前後は高めですが、ROE約16%・自己資本比率約74%・減配なしと、中身がしっかりしているのがこの銘柄の良いところ。「業績が傾いて株価が暴落した結果、見かけの利回りだけ跳ね上がった罠銘柄」とはタイプが違うのです
※2026年2月期までは配当実績、2027年2月期は会社の配当予想(110円・2026年7月時点)です。予想は今後の業績や方針で変わる可能性があります。
③ なぜ利回りが高いのか──配当性向は“やや高め”
「利回りが高いのはうれしいけど、無理して配ってない?」——大事な視点です。それを確かめるのが配当性向(=利益のうち何%を配当に回すか)です。
▲ 近年の配当性向は60%台から70%台へ、じわっと上がってきています。利益の7割前後を配当に回している計算で、還元にはかなり積極的な水準。“出しすぎ”というほど極端ではありませんが、これ以上どんどん増配していく余力は大きくないため、今後の増配は利益(本業)の伸び次第になります。この「性向がやや高め」という点も、エーアイテイーを“少量のスパイス”にとどめる理由のひとつです。2027年は会社予想です。
エーアイテイーの近年の配当性向は60%台から70%台へ、じわっと上がってきています。利益の7割前後を配当に回している計算で、還元にはかなり積極的。“出しすぎ”というほど極端ではありませんが、「これ以上、性向をどんどん上げて増配していく」余力は大きくないのも事実です。つまり今後の増配は、本業(利益)そのものが伸びるかどうかにかかっています。利回りが約5%と高い理由は、①会社が還元に積極的(性向がやや高め)なことに加え、②業績に波がある事業なので、株価が先行きを慎重に織り込んで、そこまで高くない水準にとどまっている面もあるから。高い利回りには、こうした背景もあると理解したうえで、“スパイス”として少量にとどめるのが大事な考え方です🐾
※配当性向は「1株配当÷1株利益(EPS)」。グラフは近年の推移で、2027年2月期は会社予想に基づく概算です。実際の着地により変動します。
④【高配当投資家目線】“高利回り×健全な中身”をどう活かすか
ここが高配当株投資家として注目したいポイント。エーアイテイーは「一段高い利回り」と「高いROE・健全な財務・減配なし」を両立しています。この良さを、どう活かすかがカギです。
- ① 利回りで“底上げ”する役割…ポートフォリオの平均利回りが3%台のとき、5%前後の銘柄を少量混ぜると全体の利回りがじわっと上がります。これがスパイス銘柄の存在意義。料理でいえば、メインの味を引き立てる“薬味”のような役割です
- ② “中身の良さ”という下支え…景気敏感な事業とはいえ、ROE約16%・自己資本比率約74%・減配なしと、財務が傾いて配当を止める、というタイプではありません。減配リスクをゼロにはできませんが、健全な財務が配当の下支えになっているのは心強い点です。長く持つほど、この“底堅い配当”をコツコツ積み上げられます
私の考えはこうです——「利回りは高いが“高すぎ”ではなく中身も良い。でも業績に波がある事業だから“主役”にはしない。健全な財務を信じて、少量を長期で持ち、配当を受け取り続ける」。エーアイテイーは短期で値上がり益を狙う株ではなく、時間を味方につけて配当の果実を積む株だと捉えています🐾
※配当は会社の業績・方針により変動し、将来の配当を保証するものではありません。
⑤ 業績と財務──“稼ぐ力”と“健全な財務”を確認する
高配当・増配が続くかどうかは、結局本業がしっかり稼げているか次第。エーアイテイーの場合、「売上の波」と「利益率・財務の良さ」の両面を見ることがとても大切です。まずはその推移から。
▲ 売上高はコロナ期の海上運賃の高騰などで2023年2月期に695億円まで急拡大し、その反動で2024年2月期は514億円へ調整——と、波があるのが特徴です(回復基調で27予は625億円)。一方で営業利益率は5%台から7〜8%台へ改善し、稼ぐ力そのものは底上げされてきました。売上のブレは、国際物流という「海上運賃・貿易量・為替に左右される事業」の性質そのもの。この“景気敏感さ”を理解しておくのが大切です。2026年までは実績、2027年は会社予想。
売上高はコロナ期の特需(海上運賃の高騰など)で2023年2月期に695億円まで急拡大し、その反動で2024年2月期は514億円へ調整——と、はっきり波があります。これは国際物流という事業そのものの性質。一方で営業利益率はかつての5%台から足元は7〜8%台へ改善し、稼ぐ力そのものは底上げされてきました。売上は市況で上下しても、利益を出す効率は着実に良くなっている——ここが見どころです。次に主要な数字をまとめて確認します。
財務面はとても安心感があります。自己資本比率は約74%と、借金にほとんど頼らない非常に健全な水準。さらにROE(自己資本利益率)は約16%と、自己資本を効率よく使って高い利益を生めているのが強みです。「財務は超健全なのに、稼ぐ効率も高い」——この両立は簡単ではなく、エーアイテイーの質の高さを表しています。財務・収益性のイメージはこちらです。
🛡 財務・収益性のものさし
※各指標はイメージしやすいよう独自の基準幅で描画しています。数値は2026年7月時点/2026年2月期・予想の概数です。
ただし、良いことばかりではありません。国際物流は海上運賃・貿易量・為替に左右されるセクターで、売上が大きく振れる年があります(2023→2024年2月期など)。加えて配当性向は70%台とやや高めで、増配の余力は本業の伸び次第。「世界景気や日中貿易が本格的に冷え込めば、業績も株価も揺れる」という事業の性質は変わりません。だからこそ“主役ではなく、少量のスパイス”という付き合い方が効いてきます🐾
⑥ 割安なの?──PBRとPERで確認
2026年7月16日時点の株価は2,200円、時価総額は約520億円。割安・割高を2つのモノサシで見ると——
- PBR 約2.5倍…資産に対する株価の水準。1倍を大きく上回っており、「資産的に激安」というわけではありません。ただこれはROEが約16%と高い裏返しでもあり、効率よく稼ぐ力が評価されている面があります
- PER(予)約15倍…利益に対する株価の水準。東証プライムの平均(おおむね15倍前後)とほぼ同じで、利益の面からは“妥当”な水準と見ることができます。割安でも割高でもない、フェアな評価という印象です
まとめると「資産(PBR)から見れば割安ではないが、利益(PER)から見ればプライム平均並みの妥当な水準」。高いROE・健全な財務・減配なしを評価しつつ、業績に波があるという弱点を織り込むなら、やはり“主役ではなく、少量のスパイス”という結論に落ち着きます(あくまで主観)🐾
⑦ 景気敏感株? ディフェンシブ株?
高配当株を選ぶとき気になるのが「不況に強いか(ディフェンシブ)」か「景気に振られるか(景気敏感)」か。エーアイテイーは、どちらかといえば“景気敏感株”寄りです。ここがスパイス扱いにする最大の理由です。
🔺 景気に振られる面(強め)
国際物流は世界の貿易量・海上運賃・為替に連動します。景気が冷えて貿易が縮んだり、運賃相場が動いたりすると、売上や利益が大きく振れやすいセクター。コロナ期の特需→反動のように、業績に波があるのが特徴です。
🛡 底堅い面(あり)
扱う荷物は日用品・アパレルなど生活密着型の貨物が多く、物流の“土管”としての底堅さがあります。ROE約16%・自己資本比率約74%・減配なしという中身の良さも、配当の下支えになります。
私の整理はこうです——「財務は超健全で稼ぐ力も高いが、国際物流という業績の波がある事業で、利回りも高め」。売上が相応に振れるぶん、これを主役に据えると、世界景気の悪化局面でポートフォリオ全体が揺れます。だからこそ「少なめに保有し、株価が下がって利回りが上がった局面で、長期目線で少しずつ拾う」のが、エーアイテイーと相性のいい付き合い方だと考えています🐾
🌶 “スパイス銘柄”という位置づけメモ(主観)
エーアイテイーは財務健全・高ROE・減配なしと“質の高い高配当株”ですが、それでも私は主役にはしません。理由は明確で、利回りが高く、国際物流という業績に波がある事業だから。私のポートフォリオでのエーアイテイーの役割は、料理でいう“スパイス(薬味)”——ほんの少し混ぜることで、全体の利回りをじわっと底上げする存在です。
だから使い方は、①資産形成の土台は全世界株/S&P500のインデックス積立、②高配当パートは業種のちがう30銘柄以上に分散、③エーアイテイーのような“利回りは高いが景気に振られる銘柄”は、そのなかでも少量に、そして④短期で売買せず、配当を長期で受け取り続ける前提で持つ——これが基本です。「利回りが高いから多めに」は逆。高利回りで動きやすい銘柄ほど、少なく・長くが鉄則です。
🛒 楽天証券で買える(東証プライム)
下記は楽天証券の銘柄情報ページへのリンクです(特定商品の売買を勧誘するものではありません)。当サイトのおすすめは、楽天証券の「かぶミニ®」などの“単元未満株”で1株(約2,200円)から少しずつ買う方法。まとまった資金がなくてもコツコツ・分散しやすく、NISA成長投資枠も利用できます。とくにエーアイテイーのような“少なめに持ちたい”スパイス銘柄は、1株から金額を細かく調整できる単元未満株と相性◎です。
買う前に知っておきたい注意点・リスク
- ① 景気敏感なセクター…国際物流は世界の貿易量・海上運賃・為替に左右されます。景気後退や運賃相場の変動局面では、売上・利益が大きく振れやすい点は前提に
- ② 配当性向がやや高め…直近は70%台まで上昇。増配の余力は本業の伸び次第で、利益が落ちれば配当も影響を受け得ます(減配なしは過去の実績で、将来を保証するものではありません)
- ③ 利回りが高いぶん値動きも大きめ…利回り5%前後は魅力ですが、それは株価が業績の波を織り込んでいる面も。ディフェンシブ株ほど値動きが穏やかではありません
- ④ 株価変動リスク・元本保証なし…個別株なので当然値下がりもします。「利回りが高いから」だけで一括・集中・多めに買わないのが鉄則です
これらのリスクがあるからこそ、「土台はインデックス積立、エーアイテイーは分散した高配当ポートフォリオの中の“少量のスパイス”」という位置づけが効いてきます🐾




まとめ
- エーアイテイー(9381)は、予想利回り約5.0%と“一段高い”日中間の国際物流フォワーダー。しかも利回りは高いが“高すぎ(罠銘柄)”ではなく、ROE約16%・自己資本比率約74%・減配なしと、中身のしっかりした“質の高い高配当株”
- 営業利益率は5%台→7〜8%台へ改善し、稼ぐ力は底上げ。日用品など生活密着型の貨物を多く扱う底堅さもある。健全な財務が配当を下支えしている
- ただし国際物流は海上運賃・貿易量・為替に左右される景気敏感セクター。売上に波があり、配当性向も70%台とやや高めで、利回りが高いぶん株価も動きやすい(2026年7月時点の概数)
- だからメインにはしない。土台はインデックス積立、高配当パートは30銘柄以上に分散し、エーアイテイーはそのなかでも“少量のスパイス”として、利回りを底上げする目的で、長期保有前提で少しずつ——これが独立系FPとしての私のスタンスです🐾
よくある質問(猫がお答えします)










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※本記事は2026年7月時点の一般的な情報提供であり、特定の銘柄・商品の売買を推奨・勧誘・助言するものではありません。エーアイテイー(証券コード9381・東証プライム・2月決算)に関する本文中の株価(2,200円/2026年7月16日時点)・時価総額(約520億円)・予想配当(110円)・予想配当利回り(約5.0%)・EPS(135円)・配当性向・売上高(584億円)・営業利益率(約7.2%)・純利益・ROE(約16%)・自己資本比率(約74%)・PER(予・約15倍)・PBR(約2.5倍)などの数値は、各種公表データに基づく概数であり、市況や時期・集計方法により変動します。配当実績(2018〜2026年2月期)・配当性向・業績(売上高・営業利益率)の推移、および2027年2月期の売上高・利益・配当は会社予想や各種公表データに基づく概数で、将来の配当額・利回り・業績を保証するものではありません。「減配なし・増配基調」は過去の実績であり(横ばいの年もあります)、将来の増配・維持を保証するものではありません。国際物流事業は世界の貿易量・海上運賃・為替・景気変動の影響を受けやすく、個別株には株価変動リスク・業績悪化・減配リスク等があり、元本は保証されません。NISA口座以外(課税口座)での売却益・配当には約20.315%(所得税・住民税・復興特別所得税)が課税されます。投資判断はご自身の責任で、必要に応じて金融機関等の専門家にご相談ください。
