高配当株投資が好きな独立系FPの私が、「これはポートフォリオの片隅に入れておきたいな」と自分で分析した日本の高配当株を紹介します。今回の主役は学究社(証券コード:9769)。進学塾「ena(エナ)」を運営する会社で、東京の都立中高一貫校・都立難関高校の受験に圧倒的に強いのが特徴です。うれしいのは、少子化と言われるなかでも売上・利益が伸び、営業利益率は22%、ROE(資本効率)は約23.8%という高収益体質なこと。配当はコロナ禍でも減らさず、近年は増配基調で、2027年3月期は1株127円の予想、予想利回りは約4.96%(2026年7月時点)まで上がっています。この記事では、そんな学究社の魅力と“注意点”をできるだけグラフ中心でやさしく解説します🐾
先に結論
- ◎少子化でも“増収・高収益”の教育株。進学塾enaは全都立中高一貫校11校で合格シェア約64%というブランド力で、営業利益率は12%台→22%台へ改善、ROEは約23.8%。少ない資本で大きく稼ぐ、資本効率の高い会社です
- ◎予想利回り約4.96%、コロナ禍でも減配なし。1株配当は2027年3月期に127円の予想で、利益成長とともに近年は増配基調。配当性向は約60%で無理がなく、自己資本比率も約65%と健全。“高すぎない、業績に裏打ちされた利回り”です(2026年7月時点の概数)
- △ただし“累進配当のような約束”はなく、配当は業績連動。長期の構造リスクは少子化で、PBRは約3.4倍と資産面では割安ではありません。だからこそ1銘柄への集中投資はしません。高配当株のセオリーどおり30銘柄以上に分散し、学究社はカゴの中の1銘柄(ポートフォリオのごく一部)。土台は全世界株/S&P500のインデックス積立にしつつ、割安な局面で少しずつ——これが私のスタンスです
① そもそも、学究社ってどんな会社?
学究社は、東証プライム市場に上場する進学塾の運営会社です(証券コード9769・3月決算)。看板ブランドは「ena(エナ)」。とくに東京都の都立中高一貫校・都立難関高校の受験に強く、公立志向の家庭から絶大な支持を集めています。事業の中身は——
- ena小学部・中学部・高校部…主力。都立中高一貫・都立高・大学受験に対応する集団指導塾
- ena個別/専門塾…個別指導や、美術系(美大受験)など専門分野の塾も展開
- 国際塾(帰国子女向け)…北米・欧州にも拠点を持ち、海外在住・帰国生をサポート
特筆すべきは都立中高一貫校での圧倒的な実績。全都立中高一貫校11校の合格者数は6年連続で過去最高を更新し、合格占有率は約64%にのぼります(つまり合格者の約3人に2人がena生)。少子化で「塾は斜陽産業」と思われがちですが、「私立より費用を抑えられる公立人気」「都立中高一貫校ブーム」という追い風に乗り、ニッチな分野でトップシェアを握って成長している——高配当株として個人的に好きなタイプの会社です🐾
② 【配当のポイント】コロナ禍でも減配なし+近年は増配基調
まずは高配当株としていちばん見てほしいグラフから。配当金の推移です。
▲ 緑の2020年はコロナ禍でも60円を維持(減配なし)、以降は業績拡大とともに増配基調で、赤の2027年3月期は127円へ大幅増配の予想。ただし灰色の2024年は前年と同額の据え置きで、“毎年必ず増える連続増配”ではなく業績に応じた配当という点は要注意です。2026年までは実績、2027年は会社予想(2026年7月時点)。
ポイントは3つ。ここは“良いところ”と“注意点”を正直にお伝えします。
- ① コロナ禍(2020年)でも減配していない…多くの企業が減配・無配に追い込まれた2020年でも、学究社は60円の配当を維持しました(グラフの緑)。不況でも配当を守った実績は安心材料です
- ② 近年はしっかり増配基調…2020年の60円から、業績の拡大に合わせて65→75→87→90→103円と増やし、2027年3月期は127円の予想(グラフの赤)。これにより予想利回りは約4.96%まで上がっています
- ③ ただし“毎年必ず増える連続増配”ではない…2024年は前年と同額の据え置き(グラフの灰色)でした。学究社の配当はあくまで業績に応じて決まるので、「累進配当(減配しない)」という明文の約束はありません。ここは正直な注意点です
※2026年3月期までは配当実績、2027年3月期は会社の配当予想(2026年7月時点)です。予想は今後の業績や方針で変わる可能性があります。
③ 無理して配ってない?──配当性向は約60%で“余力あり”
「127円まで増やして、無理して配ってるんじゃないの?」と不安になりますよね。そこで見たいのが配当性向(=利益のうち何%を配当に回すか)です。
▲ かつては配当性向70〜80%とやや高めでしたが、利益が大きく伸びたことで50%台まで低下=“無理なく配れる”範囲に。直近は株主還元を強めて約60%で、利益の約4割を将来の教室投資などに回す余力を残しています(2027年は予想EPSベースの概算)。
おもしろいのは、配当を増やしているのに、配当性向はむしろ下がってきたこと。これは配当の増やし方以上に、利益そのものが大きく伸びてきたからです。かつては70〜80%とやや高めでしたが、いまは約60%=利益の6割を配当に回し、残り4割は将来の教室展開などに再投資できる余力を残しています。借金して配る“タコ足配当”ではない点が安心材料です🐾
※配当性向は「1株配当÷1株利益(EPS)」。2027年3月期は予想配当127円を会社予想EPS(201.14円)で割った概算値で、実際の着地次第で変動します。
④【高配当投資家目線】配当の“質”をどう見るか
ここは高配当株投資家としていちばん大事に見るところ。「この会社の配当は、これからも安定して受け取れそうか?」という“配当の質”の話です。学究社については、強みと弱みの両方を正直に整理します。
- ◎ 稼ぐ力(収益性)が抜群に高い…ROEは約23.8%。これは少ない自己資本で効率よく利益を生んでいるということ。塾は大きな設備投資が要らない“資産の軽い”ビジネスなので、稼いだお金を配当や再投資に回しやすいのが構造的な強みです
- ◎ 不況に強い“ディフェンシブ”な事業…教育費、とくに受験にかかるお金は、家計が苦しくても最後まで削りにくい支出。むしろ不況期は「学費の安い公立へ」という志向が強まり、都立に強いenaには追い風になりやすい。コロナ禍でも減配しなかったのは、この事業の底堅さの表れです
- △ “累進配当”の約束はない(業績連動)…一方で、「累進配当(減配しない)」「DOE◯%を下限」といった、減配を制度で縛る方針は掲げていません。会社の基本方針は「業績に応じて配当し、内部留保で成長投資する」というもの。業績が伸びる限り増配は続きやすい反面、大きく減益になれば、配当性向の範囲で減配もありうる——ここは理解して持つべきポイントです
まとめると、学究社の配当は「累進配当という“制度の約束”はないが、高収益・ディフェンシブ・コロナ禍でも減配なしという“実力と実績”で支えられている」タイプ。制度による下支えではなく、本業の強さそのものが配当の土台になっている点が、私が魅力を感じる理由です🐾
※配当方針は会社の各種IR資料に基づく要約です。方針・配当額は将来見直される可能性があり、将来の配当を保証するものではありません。
⑤ 配当利回り約4.96%──高すぎず、業績に裏打ちされた水準
予想配当利回りは約4.96%。ここで大事なのは、「高ければ高いほど良い」わけではないということです。配当利回りが6〜8%を超えるような銘柄は、一見おいしそうに見えても、「業績悪化で株価が急落した結果、見かけ上の利回りだけが高い」「近い将来の減配・無配リスクを織り込んでいる」ケースが少なくありません(いわゆる“罠銘柄”)。
その点、学究社の約4.96%は“罠銘柄”の高利回りとは中身が違います。売上も利益も伸びていて、配当性向は約60%と無理がなく、自己資本比率も約65%と健全。業績の成長に裏打ちされた利回りなので、安心感が違います。高配当株のなかではやや高めの水準ですが、これは少子化という長期テーマや、中型株ゆえの売買のしにくさを市場がいくらか警戒している面もある、と私は見ています。だからこそ“カゴの中の1銘柄”として、割安な局面で少しずつ拾うのが向いていると考えています🐾
※利回りは株価が動けば変わります(株価が下がれば上がり、上がれば下がる)。数字だけでなく「なぜその利回りなのか」まで見るのが大切です。
⑥ 業績と財務──“少子化でも稼ぐ力”を数字で確認
高配当が続くかどうかは、結局本業がしっかり稼げているか次第。しかも1年だけでなく、「毎年きちんと稼げているか(売上高と利益率の推移)」が高配当株ではとても大切です。まずはその推移から見てみましょう。
▲ 少子化が叫ばれるなか、売上高は106→147億円へ着実に成長(2026年は微減も2027年は会社予想で大幅増収)。さらに注目は営業利益率が12%台→22%台へ大きく改善していること。教室運営の効率化と都立人気で“稼ぐ力”が年々強まっているのが、高配当株としての底力です。2026年までは実績、2027年は会社予想。数値は各種公表データに基づく概数です。
ご覧のとおり、少子化と言われるなかでも売上高は106→147億円へ着実に成長(2026年3月期は微減ですが、2027年3月期は会社予想で大幅増収)。そして何より、営業利益率が12%台から22%台へと大きく改善しています。これは都立人気という追い風に加え、教室運営の効率化で“稼ぐ力”が年々強くなっているということ。派手な一発ではなく、収益力そのものが底上げされている——これが減配せず配当を出し続けられる裏づけです🐾
続いて、主要な数字をまとめて確認します。
2026年3月期は売上こそほぼ横ばいでしたが、効率化で営業利益は増益・営業利益率は約22.2%と高水準。そして資本効率と財務の健全性を示すのがこちら。
🛡 収益性・財務のものさし
※各指標はイメージしやすいよう独自の基準幅で描画しています。数値は2026年7月時点/2026年3月期の概数です。
ROEが約23.8%というのは、株主が出したお金を非常に効率よく利益に変えているということ。塾は工場や在庫のような重い資産が要らない“資産の軽い”ビジネスなので、少ない自己資本で高い利益を生めるのが強みです。自己資本比率も約65%と、借金に頼りすぎない健全なバランス。「軽い体でしっかり稼ぎ、無理なく配当を出す」——高配当株として好ましい体質です🐾
⑦ 割安なの?──株価・PER・PBRで見る
2026年7月時点の株価は2,560円、時価総額は約281億円。バリュエーション(株価の割安・割高)を代表的な2つのモノサシで見ると、ここは“見方に注意”が必要です。
- PER 約12.7倍…利益に対する株価の水準。日本株の平均(15倍前後)より少し低めで、成長性を考えるとむしろ割安寄りの水準です
- PBR 約3.4倍…資産に対する株価の水準。1倍を大きく上回っています。ただしこれは“割高”というより、塾は資産が軽いビジネスなので、そもそも資産(純資産)が小さく、PBRは高く出やすいという業種の特性。PBRの低さ(解散価値割れ)で選ぶタイプの銘柄ではありません
まとめると「資産(PBR)では割安ではないが、利益(PER)で見れば市場平均より控えめ」。学究社は“資産の安さ”ではなく、“高い収益力と成長、そして配当”で評価する銘柄です。PBR1倍割れの“資産割安型”とはタイプがまったく違う——この違いを分かって持つことが大事です🐾
⑧ 景気敏感株? ディフェンシブ株?
高配当株を選ぶとき気になるのが「不況に強いか(ディフェンシブ)」か「景気に振られるか(景気敏感)」か。学究社は、事業の性質としてはディフェンシブ寄り。ただし別の“構造リスク”を抱えています。
🛡 ディフェンシブな面
受験・教育費は不況でも削りにくい支出。むしろ不況期は「費用の安い公立へ」という志向が強まり、都立に強いenaには追い風。コロナ禍でも減配しなかったように、配当の底堅さがあります。
🔺 最大の長期リスク=少子化
景気より怖いのは子どもの数が減っていく“少子化”という構造要因。ただし学究社は都立中高一貫校でシェアを伸ばし、少子化を跳ね返して増収してきた実績があります。それでも長期では逆風であり続ける点は要注意です。
私の整理はこうです——「事業はディフェンシブで不況に強いが、少子化という長期テーマとは常に向き合う会社」。だからこそ「株価が下がって利回りが上がった局面で、少しずつ拾う」のが相性のいい銘柄。今後もena が都立シェアを維持・拡大できるかを見守りながら、カゴの一部として付き合うのがいいと考えています🐾
📌 “カゴの中の1銘柄”という位置づけメモ(主観)
ここまで魅力を語ってきましたが、私は学究社に“集中投資”はしません。高配当株投資のセオリーは「1〜数銘柄に賭けず、30銘柄以上に分散して配当を受け取り続ける」こと。どんなに良い会社でも、1社に集中すればその1社の不調で配当がガクッと減るからです。ましてや学究社は累進配当の約束がなく、少子化という構造リスクも抱えます。だから学究社は、あくまでそのカゴ(ポートフォリオ)に入れる“1つの卵”。
私の使い方は、①資産形成の土台は全世界株/S&P500のインデックス積立、②その上で余力を高配当株に回し、業種のちがう30銘柄以上に分散、③学究社はそのうちの1銘柄として、割安(利回りが高い)局面で少しずつ買う——全力買いも、1銘柄集中もしません。ここがいちばん大事なポイントです。
🛒 楽天証券で買える(東証プライム)
下記は楽天証券の銘柄情報ページへのリンクです(特定商品の売買を勧誘するものではありません)。当サイトのおすすめは、楽天証券の「かぶミニ®」などの“単元未満株”で1株(約2,560円)から少しずつ買う方法。まとまった資金がなくてもコツコツ・分散しやすく、NISA成長投資枠も利用できます。
🎁【参考】株主優待もあります(QUOカード)
当サイトの基本スタンスは「1株から買える“単元未満株”でコツコツ買う」こと(少額・少しずつ・カゴの中の1銘柄)。ただし2026年7月時点で学究社は株主優待(QUOカード1,000円分)も実施しています。こちらは100株以上かつ継続保有1年以上が条件で、単元未満株ではもらえないためあくまで“参考程度の情報”ですが、資金に余裕がある人は頭の片隅に入れておくとおトクです🐾
| 条件(3月末時点) | 優待内容 |
|---|---|
| 100株以上を1年以上継続保有 | QUOカード 1,000円分 |
※権利確定は3月末。継続保有1年以上が条件のため、100株を買ってすぐには対象になりません。優待は配当と別に受け取れますが、内容は変更・廃止される場合があります(2026年7月時点の情報)。
買う前に知っておきたい注意点・リスク
- ① 少子化という長期の構造リスク…子どもの数が減っていくのは、塾業界にとって根本的な逆風。学究社は都立シェア拡大で跳ね返してきましたが、この流れは今後も続く前提で見る必要があります
- ② 配当は業績連動(累進配当ではない)…127円は会社の予想です。大きく減益になれば、配当性向の範囲で減配される可能性があります(ただし過去はコロナ禍でも減配なし)
- ③ PBRは約3.4倍で資産面の割安さはない…“解散価値割れの安心感”で買うタイプの銘柄ではありません。あくまで収益力と成長への評価である点を理解しておきましょう
- ④ 株価変動リスク・流動性…個別株なので当然値下がりもします。中型株で大型株ほど売買が活発ではないため、「利回りが高いから」だけで一括・集中で買わず、少しずつが鉄則です
これらのリスクがあるからこそ、「土台はインデックス積立、学究社は分散した高配当ポートフォリオの中の1銘柄」という位置づけが効いてきます🐾




まとめ
- 学究社(9769)は、進学塾enaを運営する高収益の高配当株。都立中高一貫校で合格シェア約64%のブランド力で、少子化でも増収・営業利益率22%・ROE約23.8%という稼ぐ力が魅力
- 予想利回りは約4.96%(年127円予想)。コロナ禍でも減配なし、配当性向は約60%で無理がなく、自己資本比率も約65%と健全(2026年7月時点の概数)
- ただし累進配当の約束はなく配当は業績連動、PBRは約3.4倍で資産割安ではない。長期の構造リスクは少子化。“資産の安さ”ではなく“収益力と成長・配当”で評価する銘柄です
- それでも集中投資はしない。高配当のセオリーどおり30銘柄以上に分散し、学究社は“カゴの中の1銘柄”として、土台のインデックス積立を崩さず割安な局面で少しずつ——これが独立系FPとしての私のスタンスです🐾
よくある質問(猫がお答えします)










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※本記事は2026年7月時点の一般的な情報提供であり、特定の銘柄・商品の売買を推奨・勧誘・助言するものではありません。学究社(証券コード9769・東証プライム)に関する本文中の株価(2,560円/2026年7月13日時点)・時価総額(約281億円)・予想配当(127円・2027年3月期)・予想配当利回り(約4.96%)・EPS(会社予想201.14円)・BPS(751.90円)・配当性向・売上高(2026年3月期130.69億円)・営業利益(29.04億円)・営業利益率(約22.2%)・純利益(18.49億円)・ROE(約23.8%)・自己資本比率(約65%)・PER(約12.7倍)・PBR(約3.4倍)などの数値は、各種公表データに基づく概数であり、市況や時期・集計方法により変動します。売上高・営業利益率・配当性向の推移(2019〜2027年)も各種公表データに基づく概数で、2027年3月期は会社予想です。学究社は累進配当やDOE下限などの明文の配当方針を掲げておらず配当は業績連動であり、将来にわたる配当額・利回りを保証するものではありません。個別株には株価変動リスク・業績悪化・減配リスク・少子化等の構造リスクがあり、元本は保証されません。NISA口座以外(課税口座)での売却益・配当には約20.315%(所得税・住民税・復興特別所得税)が課税されます。投資判断はご自身の責任で、必要に応じて金融機関等の専門家にご相談ください。

