「タダで商品やお食事券がもらえるなら、株主優待ってお得じゃない?」——たしかに楽しい制度です。でも独立系FPの結論は「気安くやるな、優待株投資」。優待“だけ”を目当てに株を買うと、知らないうちに損をしていることが多いんです。今日は優待株との正しい付き合い方を、トータル利回りの考え方と「改悪リスク」の実例をもとに本音で解説します🐾
先に結論
- ◎資産形成の土台はインデックス投資(オルカン/S&P500)。優待株はあくまで“趣味の範囲”
- △買うなら「優待利回り+配当利回り」のトータル利回りで判断。割高な優待株はNG
- ✕優待は配当より廃止・改悪されやすい。特に自社商品以外(QUOカード・カタログ)は要注意
そもそも、なぜ「気安く」やってはいけない?
株主優待は、企業が株主に自社商品やお食事券、QUOカードなどを贈る、日本独特の楽しい制度です。でも問題は、多くの人が「優待がもらえるか」だけを見て、肝心の“その株が割高か割安か”を見ていないこと。
優待につられて割高な株を高値づかみすれば、数千円の優待をもらっても、株価の下落でそれ以上に損をすることも。優待は“おまけ”であって、投資の主役ではありません。あくまで株式投資であるという大前提を忘れないことが大事です。
大原則:「トータル利回り」で考える
優待株を見るときの正しいモノサシがトータル利回り。これは——
優待利回りだけが高く見えても、配当が極端に低かったり、株価がそもそも割高だったりすると、トータルでは大したことがないケースが多々あります。「優待利回り+配当利回り」を合わせて見て、初めてお得かどうかが分かるのです。
“割高な優待株”より「高配当株+配当で買う」ほうが得
ここが意外と見落とされがちな核心です。いくら優待がもらえても、その株が割高で利回りが低ければ意味がありません。
たとえば「お食事券がもらえる優待株」が割高なら、その分のお金で割安な高配当株を買って、もらった配当金で自分の好きな店で食事するほうが、自由度も高くてお得なことがあります。優待は「使い道が指定されたポイント」のようなもの。現金(配当)のほうが応用が利くんです。高配当株のセオリーは高配当株投資の教科書もどうぞ。
【参考】誰もが知る人気優待株の「トータル利回り」(2026年6月23日時点)
実際に、知名度の高い人気優待株のトータル利回り(配当+優待)を見てみましょう。あくまで参考程度ですが、傾向がよく分かります。
| 銘柄(コード) | 配当 利回り |
優待利回り (概算) |
トータル (概算) |
|---|---|---|---|
| 日本マクドナルドHD(2702) | 約0.9% | 約1.2% | 約2.1% |
| すかいらーくHD(3197) | 約1.0% | 約1.5% | 約2.5% |
| 吉野家HD(9861) | 約0.7% | 約1.3% | 約2.0% |
| イオン(8267) | 約1.0% | 買物1%還元※ | 2%前後 |
| オリエンタルランド(4661) | 約0.7% | 1デーパス | ※後述 |
※100株保有・標準的な優待内容での概算。株価・優待内容で変動します。イオンのオーナーズカードは買物額に応じた1%キャッシュバックのため利回り換算しにくく、配当+実利用で2%前後が目安。オリエンタルランドは株価が大きく下落しており別格(後述の実例を参照)。
気づきましたか?誰もが知る人気優待株でも、トータル利回りは「2%前後」が目立ちます。一方、高配当株なら利回り3〜4%もめずらしくありません。「タダでモノがもらえる」というお得感のわりに、数字で見ると意外と地味——これが、人気優待株が“割高”になりやすい正体です。


優待は「配当より改悪・廃止されやすい」
これが優待株の最大の弱点です。株主優待は法律上の義務ではなく、企業が任意でやっている“サービス”。だから企業の方針転換ひとつで、いつでも改悪(条件きびしく)や廃止になり得ます。
背景には、2022年4月の東京証券取引所の市場再編があります。優待は「保有株数に比例しない(少額株主に有利)」「海外の機関投資家には届きにくい」といった“公平性”の問題を指摘され、大企業を中心に「優待をやめて、その分を配当に回す」動きが出ました。
数字で見る現実(2025年)。株主優待を新たに導入した企業が175社あった一方で、廃止した企業も68社ありました(東京商工リサーチ調べ)。全体では新設が廃止を上回り増加傾向ですが、「自分が持っている銘柄の優待が、ある日とつぜん廃止される」リスクは現実にあるということ。配当も減配はありますが、優待は“任意のおまけ”ゆえに、より気軽に削られやすいのです。
特に「自社商品以外の優待」は要注意
同じ優待でも、廃止されやすさには差があります。ポイントは「企業にとってその優待が“得”かどうか」。
- 自社商品・サービスの優待(残りやすい)…飲食店のお食事券、自社製品の詰め合わせなど。企業にとっては宣伝・ファンづくりになり、原価ベースで提供できるので、続けるメリットがある
- 自社と関係ない優待(消えやすい)…QUOカード・カタログギフト・ギフト券など。企業にとってはただのコスト(現金流出)で、宣伝効果も薄い。だから方針転換であっさり廃止されやすい
実例:オリックス(8591)のカタログ優待廃止。かつて大人気だった、取引先の全国グルメなどから選べるカタログギフト「ふるさと優待」。オリックスは2024年3月末をもってこの株主優待制度を廃止し、「より公平な利益還元」として配当に集約しました。自社商品ではない“取引先カタログ”の優待が、方針転換でなくなった典型例です。ほかにも、新設したQUOカードPay優待を実施前に撤回した企業(REVOLUTION)の騒動などもありました。「カタログやQUOカード目当てで買ったのに、廃止されて株価も下落」——これは優待株のあるあるな失敗です。
優待1枚につられて、株で大損?|オリエンタルランドの実例
優待株のもっとも怖い落とし穴は、改悪・廃止より「株価そのものの下落(キャピタルロス)」です。どんなに優待が魅力的でも、それは“おまけ”。本体である株価が下がれば、優待のお得感など一瞬で吹き飛びます。
わかりやすいのがオリエンタルランド(4661)=東京ディズニーリゾートの運営会社。株主優待でディズニーの1デーパスポート(保有株数・期間に応じて)がもらえることで人気で、「チケット目当てに買う」人も少なくありませんでした。ところが、株価の実際の動きを見てみましょう。

2024年には5,000円超の高値をつけましたが、2026年には2,363円。高値圏で100株(最低単元)を買っていたら、1株あたり約3,000円・100株で約30万円もの含み損です。
キャピタルロスをチケットに換算すると…。ディズニーの1デーパスポート(変動価格でおよそ1万円)に直すと、この含み損だけでチケットが約30枚も買える計算。優待でもらえるチケットは年に1枚ほどですから、「チケット30年分」を株価下落で失ったことになります。年1枚のチケットに釣られて高値づかみした結果がこれ——まさに本末転倒です。「優待でトクした」つもりが、トータルでは大きなマイナス。優待は“おまけ”、勝負は株価(=個別株のリスクそのもの)だということを、絶対に忘れないでください。
つまり優待株投資は、その正体が「個別株投資」そのものです。1社に集中して投資する以上、会社の業績や株価次第で大きく損をするリスクは避けられず、FPねこが初心者に個別株投資をおすすめしない理由がそのまま当てはまります。個別株投資の注意点は、別記事で詳しく解説しています👉 個別株投資はおすすめしない理由|インデックスは0にならない


それでも優待株を楽しみたい人へ|“無償の愛”ならOK
ここまで厳しめに書いてきましたが、FPねこは優待株を全否定はしません。大事なのは動機と土台です。
- 本体(資産形成の土台)は、必ずインデックス積立にする(▶ 新NISA完全ガイド)
- 優待株は「無くなってもいい余剰資金」で少額だけ。生活費や将来の大事なお金で勝負しない
- 選ぶ基準は「その企業に“無償の愛”を注げるか」。優待が廃止されても、株価が下がっても、「この会社が好きだから応援する」と思えるかどうか
じつは私(FPねこ)も、優待株を持っています。ココイチのカレーが大好きなので、壱番屋(7630)の株主なんです🍛 自社のお食事券優待で大好きなカレーが食べられて、応援にもなる。たとえ優待が改悪されても「好きだから持ってる」と言える——これが私にとっての“良い優待株”。良い贅沢・悪い贅沢の考え方と同じで、自分の心が本当に満たされる持ち方なら、それは立派な趣味の投資だにゃ。
まとめ
- 優待“だけ”を目当てに気安く買うと、割高な株を高値づかみして損をしやすい
- 判断は「配当利回り+優待利回り」のトータル利回りで。割高な優待株より高配当株+配当のほうが得なことも
- 優待は任意制度で配当より改悪・廃止されやすい(2025年は廃止68社・オリックスのカタログ優待廃止が実例)
- 特にQUOカード・カタログなど自社商品以外の優待は廃止されやすい。自社商品系を選ぶ
- 本体はインデックス。優待株は“無償の愛”を注げる企業に、余剰資金で趣味として
よくある質問(猫がお答えします)




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※本記事は2026年6月時点の一般的な情報提供であり、特定の銘柄・商品の売買を推奨するものではありません。株主優待制度は各社の任意であり、改悪・廃止される場合があります。投資にはリスクがあり、最終的な投資判断はご自身でお願いします。出典:東京商工リサーチ「2025年の株主優待」、マイナビニュース、ダイヤモンドZai・オリックス株式会社IR(株主優待制度廃止のお知らせ)ほか。

